他にはない神奈川のニュースを!神奈川新聞 カナロコ

  1. ホーム
  2. ニュース
  3. 政治・行政
  4. 旧鎌倉図書館の耐震改修足踏み 土台の腐食進む

旧鎌倉図書館の耐震改修足踏み 土台の腐食進む

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2018年8月1日(水) 02:00

木材の激しい腐食が見られる旧鎌倉図書館=鎌倉市御成町
木材の激しい腐食が見られる旧鎌倉図書館=鎌倉市御成町

 学童保育施設として活用するため、老朽化が進む旧鎌倉図書館(鎌倉市御成町)を耐震改修する市の計画が遅れている。着工前の調査では土台の木材の腐食は限定的との結果だったが、着工後に広範囲にわたっていることが判明したためだ。施工方法を見直さざるを得ず、市は工事を一時中断した。市は「業者や専門家らとも協議し、新たな方針をできるだけ早く提示したい」とするが、先行きは不透明だ。 

 旧図書館は1936年に完成。瓦屋根と縦長の窓が並ぶ和洋折衷様式で、「鎌倉の歴史のロマンに触れることのできる貴重な空間」などと評される。市は老朽化していることから、当初は解体・撤去する方針だったが、市民らの要望を受け、保存・活用することを決めた。

 建物の耐震性や現状を確認するため、市は2016年、横浜市内の設計事務所に約970万円で調査を委託。その結果、土台の一部に、雨漏りやシロアリの食害などが原因とみられる腐食が見つかった。鎌倉市は傷んだ部分の木材を交換して対応することにし、今年3月から耐震改修工事を始めた。

 ところが、実際に内外装をはがしてみると、腐食は調査結果以上に広がっていた。土台の外側はほぼ傷んでおり、大部分を交換せざるを得ないという。施工方法から見直す必要に迫られ、市は9月末まで工事の中断を決めた。

 着工前の調査について、市は「壁や床32カ所をはがして腐食などを確認したほか、床下にも潜った」と説明。32カ所は、耐震設計に必要な建物の構造を知ることができる接合部を中心に選定したという。市は「木造建築の場合、内外装を全てはがして確認する手法はコストと時間がかさむ上、建物の強度を落とす危険性もあり、ほとんど取らない」と説明。「調査結果と現状が乖離(かいり)した原因については、これから調べたい」とした。

 市は解体を含めて施工方法を見直しており、来年4月の予定だった学童保育施設の開設は遅れ、約2億5千万円の工事費も膨らむことは確実となっている。

 
 

図書館に関するその他のニュース

政治・行政に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング