新型コロナウイルスの感染防止策として政府が用意した布マスクの未配布分が回収される事態になった。配布方針の公表時も批判を浴びた「マスク問題」は、再び政権への打撃となる可能性をはらむ。急づくりの施策に振り回された納入企業側には戸惑いが広がる。
本末転倒

「郵送だけでも巨額の費用がかかる。不良品を送るなんてお金をどぶに捨てるようなもの」。福島市のパート従業員の女性(36)は24日、あきれた様子で話した。
安倍晋三首相は今月1日、布マスクを全世帯に2枚ずつ配ると表明。その後、力を注ぐポイントがずれていると批判の声が上がり、政権の経済政策「アベノミクス」にちなんで「アベノマスク」とやゆされた。不良品混入という新たな問題に、政府内からも疑問の声が上がる。
ある厚生労働省幹部は「マスクが不衛生なんて本末転倒。国民の健康を守る役所として許されない」と自省。