小泉純一郎元首相は15日、東京都内で開かれた小沢一郎・自由党共同代表の政治塾で講演し、持論の原発ゼロを訴えた。長年、「政敵」同士だった2人だが、講演後には小沢氏とともに取材に応じ、原発ゼロの実現には「野党が一本化して選挙の争点にできるかどうかが鍵だ」と強調。多党化している野党の連携を促した。
今回の講演は、仲介人を通じて実現。小泉氏自身も「間違いじゃないかと思った」と語る両氏の協調は「約30年ぶり」という。9月の自民党総裁選で、原発再稼働を進める安倍晋三首相(党総裁)の3選が見込まれる中、脱原発政策の実現を目指す小泉氏と政権側をけん制したい小沢氏の狙いが一致した形だ。
小泉氏は記者団に、安倍首相の原発政策について「もう切り替えることはできないでしょう」と、現政権下での原発ゼロの実現は困難との見方を表明。次男で党筆頭副幹事長の進次郎氏(衆院11区)が実現に向けて中心的役割を果たすべきかについては、「一人前の政治家だから、あれこれ言わない。ただ、私の意見は知っている。今は立場を考え、慎重にしているのではないか」と語るにとどめた。
ともに1942(昭和17)年生まれで、69年の総選挙に初出馬した間柄ながら、小沢氏は自民党最大派閥だった「経世会」、小泉氏は「清和会」に所属し、党内でも競い合った。小沢氏は離党後、野党第1党の民主党代表などを務め、小泉政権(2001~06年)と対抗した。
講演では、小沢氏の自民党幹事長時代に党全国組織委員長だった小泉氏が全国行脚を共にし、地方組織の幹部と酒を酌み交わしたエピソードも披露された。終了後、小沢氏は「しばらくぶりに小泉節を聞いた」と笑顔を見せ、2人は握手をして会場を後にした。