職場でのハラスメント被害撲滅に向け、黒岩祐治知事は20日、県職員のハラスメント対策を強化する考えを明らかにした。県庁でセクハラ・パワハラを巡る相談は毎年10件前後寄せられており、意識啓発に取り組みながらも歯止めが掛からない状況。知事は前財務事務次官ら官僚によるセクハラ問題を受けた政府の緊急対策を参考に、幹部職員を対象とした新たな研修を実施する意向を示した。
県によると、2017年度までの5年間でハラスメントに関する相談は年間7~16件。15年度が最も多く、17年度はセクハラ4件、パワハラ10件だった。この間に懲戒処分となったケースはないが、13年3月には県立保健福祉大の男性教員が未成年の女子学生と飲酒し、わいせつな言動をしたとして停職処分を受ける事案もあった。
県のハラスメント対策は、新採用職員や新任の管理職らの研修で、注意すべき言動や相手の気持ちに配慮したコミュニケーションなどについて意識啓発。専門の相談窓口を設け、個別事案にも対応している。
しかし相談件数は横ばいで、「非常に深刻な状況」(県議)から脱せずにいるため、知事は新たな研修の必要性に言及。政府が中央省庁の幹部に対する研修を義務化したことを踏まえ、「トップセミナーでハラスメント防止研修を実施するなど、対策を強化していく」と述べた。今後は約300人の幹部職員向けセミナーに専門家を招くなどして被害軽減を図るという。
同日の県議会本会議で、日下景子氏(国民民主党・無所属クラブ)の代表質問に答えた。