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カジノ解禁是か非か 県内与野党議員攻防

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2018年6月15日(金) 02:00

IR誘致の有力候補地とされている山下ふ頭=横浜市中区
IR誘致の有力候補地とされている山下ふ頭=横浜市中区

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案の衆院審議は、与野党の攻防が激しさを増す中、与党は15日にも委員会採決に踏み切る考えだ。「観光先進国へ引き上げる原動力」とIR整備促進を目指す政府・与党に対し、野党側は賭博を成長戦略に位置付けることの妥当性やギャンブル依存症対策の在り方に猛反発。日本にカジノは必要なのか-。解禁の是非は県内選出議員の質疑からも浮かび上がる。

与党「観光客と投資呼ぶ」


 「IRは訪日外国人客数を伸ばしていく上で大きなインパクトを与え、観光や地域経済の振興に寄与する」。衆院本会議で審議入りした5月22日、自民党の鈴木馨祐氏(7区)は観光先進国の実現にはIRが不可欠と強調。その後の内閣委では、同党の三谷英弘氏(比例南関東)が「外国から観光客や投資を呼び込むには、魅力的な施設での素晴らしいリゾート体験が必要」と訴えた。与党は国民理解が進んでいないことも自覚し、「世界最高水準のカジノ規制」を盛り込んだ日本型IRの“健全性”もアピールする。

 IRのターゲットは、外国人富裕層とされる。1年間に日本を訪れる外国人旅行者数は昨年、2869万人に上り、5年間で3・4倍に増加。与党はこの流れをさらに加速させるには、「全国各地に観光客を送り出し、地域活性化と日本全体の経済成長につながる」(安倍晋三首相)IR整備が鍵を握ると力を込める。

野党「国民の理解進まず」


 だが、野党側は徹底抗戦の構えで、法案への反発は増すばかりだ。

 「アベノミクスは人の不幸を食い物にして成り立つ経済なのか」。立憲民主党の阿部知子氏(12区)はカジノ解禁に対する反対世論が根強いことを引き合いに、「国民がきちんと納得できない政策は、うまくいくわけがない」と追及。無所属の会の本村賢太郎氏(比例南関東)も「観光立国の推進にIRは必要ない」と疑問を呈し、観光庁の調査結果を取り上げ「訪日客は日本食や自然・景勝地、温泉など、日本ならではの文化や芸術に価値を感じている」と指摘した。

 利用者の7~9割は日本人との推計を示して政府側の矛盾をただしたのは、立民の篠原豪氏(同)。横浜市で取り沙汰されている誘致の動きを念頭に、「主たる顧客」となる可能性が高い近隣住民に対する厳格な規制を加えるよう求めた。

 議論では、賭博の合法化も主な焦点の一つだ。カジノは刑法の賭博罪で禁じられており、野党からはその整合性を問う声が相次ぐ。無所属の会の江田憲司氏(8区)は「日本の歴史で賭博はご法度。公的主体ではない民営賭博に国民の理解は絶対進まない」と批判。戦後初の「民設民営」でありながら、収益の3割を国と自治体で折半する仕組みを踏まえて「公益性」を主張する政府に対し、費用対効果も検証せずに解禁を目指す姿勢は「無責任」と断じた。

依存症対策万全か


 カジノ解禁の“副作用”として国民が不安を抱くのは、ギャンブル依存症や多重債務者の増加、青少年健全育成への悪影響、暴力団の関与や治安悪化-など多方面に及ぶ。中でもギャンブル依存症を巡っては、与野党問わず万全の対策を望む声が上がる。

 政府の実態調査によると、パチンコなどのギャンブル依存症患者は全国で約320万人。カジノ解禁が依存症を助長するとの懸念を受け、法案では7日間で3回、28日間で10回の入場制限を設け、入場料を6千円に設定した。首相は「不幸な状況に陥る人を少なくするため、政府一体で取り組む」とするが、野党側は納得しないまま衆院審議が終わろうとしている。

 
 

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