
ニホンザルによる農作物被害を減らす対策として、清川村が昨年5月に神奈川県内自治体で初めて大型の囲いわなを設置して9カ月。努力が実り、今月初めてサル3頭がかかっているのが見つかった。村は「行動域の広がる冬場の今、さらに捕獲が進むよう取り組みを続けたい」と意気を上げる。
囲いわなが設置されているのは、同村煤ケ谷の山林に隣接する農地。わなの大きさは縦8メートル、横5メートル、高さ2・7メートルで、四方を金網で覆い、上部が開放されている。上部から内部にいったん入り込むと、すり鉢状の鉄板が返しの役割を果たし、よじ登って外に出られない仕掛けとなっている。
3頭は県の許可を得て管理捕獲の対象としていた「片原群」と呼ばれる群れのサル。村内は同群のほか、川弟群(63頭)や川弟分裂群(60頭)、鐘ケ嶽群(24頭)と複数の群れがいるが、「民家の多い村南部から厚木市の境に生息し、最も被害を及ぼす恐れが大きい」(村産業観光課)と最重視してきた。
村によると、わなにかかっているのが見つかったのは6日午前。今回の捕獲などで同群は12頭になったとみられ、3頭は殺処分後、研究用の検体として大学に送ったという。
農作物被害を減らそうと、これまで多くの人がわなの設置や運用に協力してきた。設置場所は地権者が農地の一角を無償で提供。サルをおびき寄せる餌は、JAあつぎなどがダイコンやサツマイモ、カキなどを無料で用意した。餌の交換は村職員が担当し、夏場など多い時は毎週、現場に赴き、機会をうかがってきた。
村産業観光課は「サルは村民が丹精込めて育ててきた収穫前の野菜のおいしい部分を少しだけかじって広範囲に食べ散らかしてきた。村民の精神的苦痛は大きい」と明かす。今後も同じ場所に囲いわなを設置し、「片原群の全頭捕獲につなげたい」と力を込める。村ではこのほかの対策として、県猟友会清川支部などの協力を得て、銃器や箱わなを使った捕獲や追い払いも続ける。