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検証 18年度川崎市予算案(上) 待機児童 施設増に膨らむ負担

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2018年2月22日(木) 13:51

川崎市などが主催した保育士就職説明会。保育士確保を急ぐ保育事業者のブースが並んだ=1月27日、幸区のミューザ川崎シンフォニーホール
川崎市などが主催した保育士就職説明会。保育士確保を急ぐ保育事業者のブースが並んだ=1月27日、幸区のミューザ川崎シンフォニーホール

 「新設の保育園も多く、川崎市が力を入れていることは伝わる。でも、人口が増えすぎだと思う」

 1歳児の長男の預け先を探していた中原区の女性(32)は1月、希望の認可保育所が1次選考で全て落ちた。保育園激戦区なのに、なお増え続けるタワーマンションに「建設許可を出す担当と保育の担当で調整できないのか」と疑問を抱かざるを得なかった。

 「保活」は昨年2月から始めた。生後数カ月の子どもを連れ、20カ所以上の認可、認可外の施設を見学。申請書には武蔵小杉駅周辺などの保育所を記入欄以上の15カ所近く書き込んだが、いずれもかなわなかった。

 認可外への申請は祖父母、夫、本人の4人で電話しても、2時間以上つながらなかった。何とか一つの園に内定し、4月の職場復帰のめどは立った。

 ただ、保育料こそ市の補助もあり認可並みだが、3歳児以上のクラスはなく、転園先を探さなければならない。「保活は予想以上に苦しかった」。ほっとしたのもつかの間、2年後に向けた情報収集も始めている。

■ ■
 「待機児童対策は引き続き大きな課題であり、予算案でも最大限の注力をした」。2018年度当初予算案を発表した会見で、福田紀彦市長は強調した。昨年秋の市長選では対抗馬の1人から「ハコモノの保育所に金をかけすぎ」との批判も浴びたが、伸び続ける保育需要に再びアクセルを踏み込んだ感がある。

 待機児童対策関連は前年度比65億円増の616億円。19年4月に向けた認可保育所の整備などに51億円を計上し受け入れ枠を2350人分増やす。単年度では2番目に多い整備量だ。

 保育所施設整備に対する補助を増額し、大規模マンション開発に保育所併設を誘導する容積率緩和制度も始める。経験年数7年以上の保育士には月額給与2万円の処遇改善も図る。

 「利便性の良い保育所用地も保育士の確保も難しくなってきているが、手を尽くしたい」。市こども未来局の担当者は話す。

■ ■
 待機児童対策で財政負担が最も重いのは、整備した数だけ経常的に膨らんでいく認可保育所運営経費だ。国庫で2分の1、県費と市費で4分の1ずつ負担するが、18年度は57億円増の453億円となった。

 予算案と同時発表した4カ年の市総合計画第2期実施計画によれば、毎年2千人分ペースで整備するため、今後、毎年50億円前後ずつ伸びていく見通しだ。

 過去5年間の扶助費の推移をみると、生活保護費は1億円増、社会福祉費は58億円増に対し、保育所運営経費を含む児童福祉費は358億円増えて18年度予算で931億円。扶助費の半分、一般会計予算(7366億円)の8分の1に達した。


扶助費の主な内訳の推移
扶助費の主な内訳の推移

 公約でもある子育て施策の充実が財政を圧迫する現状への認識を会見で問われた福田氏は理解を求めた。

 「(4年前の)第1期計画の時に想定したよりも人口が増え、保育所の利用申請も増えており、そこにしっかり対応したい。金がかかるのは必然、当然だ」


 福田市長にとって2期目最初の編成となる川崎市の2018年度予算案。その特色と課題を探った。

 
 

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