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川崎の差別根絶条例成立
全国初、ヘイトに刑事罰 全会一致で可決

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2019年12月13日(金) 05:00

「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」に賛成し、起立する議員ら。全会一致で可決、成立した=市議会本会議場
「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」に賛成し、起立する議員ら。全会一致で可決、成立した=市議会本会議場

 差別の禁止と根絶を掲げ、特に被害が深刻なヘイトスピーチに刑事罰で対処する川崎市の条例が12日、市議会本会議で全会一致で可決、成立した。国の法律に先んじ、外国にルーツのある市民に対する差別的言動を犯罪と定め、全国で初めて刑事規制に踏み切る。自治体が差別撤廃の前面に立つという人権行政の歴史的転換は、他の自治体や国の法改正への波及も期待される。

 罰則は条例が全面施行される来年7月1日から適用される。

 「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例(差別根絶条例)」は全ての市民が差別を受けることなく暮らせるまちづくりをうたい、国籍や人種、性的指向、出身、障害などを理由にしたあらゆる差別的取り扱いを禁じた。ヘイトスピーチについては、市の勧告、命令に従わずに3回目の差別的言動が認められた場合、氏名を公表し、捜査機関に告発する。検察庁に起訴され、刑事裁判で有罪になると最高で50万円の罰金が科せられる。

 罰則対象は、市内の道路や公園など公共の場で拡声器やプラカードなどを使った言動で、▽居住する地域から退去させることを扇動、告知する▽生命、身体、自由、名誉、財産に危害を加えることを扇動、告知する▽人以外のものにたとえるなど、著しく侮辱する─ものと定めた。勧告、命令、公表に当たって市長は有識者でつくる審査会に意見を聴くなど、権力の恣意(しい)的な乱用を防ぎ、憲法で保障された表現の自由を侵害しない仕組みを設けた。

 差別の根絶に向けた施策の計画的、総合的な実施や人権侵害の被害者支援を市が行うことも義務づけ、罰則対象から外れたインターネット上のヘイトスピーチについても削除要請などの拡散防止措置を講じる。

 市内では在日コリアンの殺害を呼び掛けるへイトデモが2013年5月から始まった。15年11月、16年1月には在日集住地区の川崎区桜本が標的とされ、同年6月施行のヘイトスピーチ解消法の立法事実になった。同法が禁止・罰則規定のない理念法にとどまったため、その後も街宣や選挙演説の名を借りた差別扇動による人権侵害が市内で横行。市は実効性の確保には刑事罰を導入する必要があると判断した。

 採決ではチーム無所属の重冨達也、秋田恵の両氏が退席したが、議長を除く出席議員57人全てが賛成。福田紀彦市長は「総員起立による可決は非常に重い。市と市民、事業者の皆で取り組み、このまちから差別をなくすという決意を新たにしている」と話した。

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