
川崎市が所蔵するアーカイブ映像を市民に広く活用してもらおうと、「川崎の今昔を語る夕べ~映像アーカイブの風景とこれからの私たち~」と銘打った催しがこのほど、同市中原区で開かれた。市市民文化局の主催。市内で活躍する3人を招き、参加者とともに映像の利用法を探った。
市は、戦後から平成中期まで約800本のアーカイブ映像を所蔵。2017年には、こうした貴重な資料を閲覧できるサイト「川崎市映像アーカイブ」も開設し、一部を除いて公開している。
24年の市制100周年に向け、地元への愛着を深めてもらおうと、市はアーカイブ映像の有効活用を呼び掛ける取り組みにも尽力。今回の催しはその一環として初めて企画され、約35人が参加した。
日本映画大学(麻生区)の芦澤浩明さんは、自身が取り組んできた活用事例を報告した。市の所蔵映像を使って上映会を開き、何百人もの高齢者が集まったことを紹介。「昔の映像を見てもらうのは高齢者の元気にもつながる」と効果を指摘し、「今後は楽しんでもらうだけでなく、次世代のためにどう映像を活用していくのかを考えないといけない」と結んだ。
武蔵小杉に在住・在勤の人々がまちづくりや防災などさまざまなテーマをともに学び、交流を深める「こすぎの大学」で活動してきた岡本克彦さんも登壇。先月の台風19号で浸水被害を受けた川崎市市民ミュージアム(中原区)の開館10周年当時の映像を紹介した。
食や農、環境をテーマに活動するNPO法人「みどりなくらし」の堀由夏理事長は、昭和30年代に登場した当時珍しい「2歳以下対象の保育園」の動画を放映しながら、「当時も今も中原区は先進的な地域だった」と話した。
交流会も開かれ、参加者が映像の活用方法などを巡って意見交換した。