菅義偉官房長官は2日の記者会見で、米軍空母艦載機による陸上空母離着陸訓練(FCLP)の移転候補地となっている鹿児島県西之表市の馬毛島を約160億円で買収することで地権者と合意したと正式発表した。「約160億円は適正だ」との認識を示した。
同時に「地元の理解と協力が極めて大事だ」と述べ、地元自治体や周辺の島の住民らに丁寧に説明していく方針を示した。「FCLPの施設の確保は安全保障上の重要な課題だ。早期に恒久的な施設を整備できるよう、引き続き取り組む」と強調した。
防衛省と地権者が11月29日、一定の合意に達したと説明。詳細は「今後の土地取得に関わるため、答えを差し控える」と述べるにとどめた。
空母艦載機の拠点の米軍岩国基地がある山口県岩国市の福田良彦市長は、防衛省から連絡があったとした上で「大きな前進だ」と評価するコメントを出した。「恒久的な訓練施設の確保は住民の不安軽減のためにも必要だ。今後も国に対し施設の早期整備を要望したい」と言及している。
「恒常施設実現へ第一歩」
厚木基地関係者ら評価
馬毛島を買収することで政府と地権者が合意したことを受け、FCLPの予備施設に指定されている厚木基地(大和、綾瀬市)の関係者は「騒音被害の軽減のために長く要望してきた、恒常的な訓練施設の実現に向けた一歩」と評価した。