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IR考
賛否激しく交錯 誘致予算案が横浜市会で可決

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2019年9月21日(土) 05:00

「未来のため」「公約違反」


IR誘致関連費を計上した一般会計補正予算案の可決後、安堵(あんど)した表情を垣間見せた林市長=20日午後4時25分ごろ、横浜市議会棟
IR誘致関連費を計上した一般会計補正予算案の可決後、安堵(あんど)した表情を垣間見せた林市長=20日午後4時25分ごろ、横浜市議会棟

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を巡り、横浜市会は20日の本会議で、関連費を盛り込んだ一般会計補正予算案を可決した。各会派の議員らによる討論では、増収効果への期待や、長く「白紙」としながら突如、誘致に踏み切った林文子市長への批判など賛否が交錯。定員116人の傍聴席を埋めた市民らは可決の瞬間、やじを飛ばすなど、市会の判断を非難した。

 賛成の討論ではまず、「自民党・無所属の会」の山下正人氏が登壇。IRによる増収効果に期待感を示した上で、「『IR=カジノ』との報道に、市民がミスリードされている」と報道の責任に言及。「政治家は、未来のために不人気政策を考えないといけない」と力を込めた。

 同じく賛成した公明党の斎藤真二氏は「市会での責任ある議論を通し、市民らの理解が深まるようなプロセスを経なければ、横浜におけるIRは実現しえない」とし、治安やギャンブル依存症の対策を推進することなどを求めた。

 一方、反対の討論では、「立憲・国民フォーラム」の有村俊彦氏が市の決定過程が不透明だとし、「市民不在の市政運営だ」と市長を非難。年間最大1200億円の増収効果があるとする市の説明に対し、「一番の問題は、カジノが不振となれば市民サービスの低下を招く。市の財政運営そのものがギャンブル依存症になることだ」と反論した。

 共産党の北谷真利氏も「カジノ収益は客が負けた金。住民の暮らしを破壊することによって税収を確保することは、地方自治体の財政施策として誤っている」と強調。子育て世代に選ばれる都市になるため、小児医療費の無償化や中学校給食の実施などに取り組むべきとの考えを示した。

 井上桜氏(無所属)は市が示す経済効果などの数字は事業者がつくったものと指摘し、「これほど重大な判断の理由としながら、無責任極まりない」と市の姿勢を糾弾。また2017年夏の市長選で「白紙」を掲げて3選を果たした市長を「明らかな公約違反。市民をだまして当選したと言うほかない」と断罪した。市会に対しても、4月の市議選でIR誘致を公約にした議員が誰もいなかった点に触れ、「補正予算案を成立させれば、市民の不信感が市会全体に及ぶ」とけん制した。

 小幡正雄氏(無所属)は正式表明前に、市会に説明がなかったことを「議会に対する背信行為だ」と問題視。太田正孝氏(同)は「(カジノ導入で)人格が駄目になる。“防波堤”を設けるのが政治だ」と再考を促し、豊田有希氏(同)は「IRが国家戦略というのであれば、国政の責任で行えばいい。市が国政に忖度(そんたく)し、『毒まんじゅう』に手を出すのは市民への背信行為」と非難した。平田郁代氏(神奈川ネット)はギャンブル依存症に苦しむ家族の実例を挙げ、「支援者の苦悩を理解していたら誘致しようという発想にはならない」とし、撤回を求めた。

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