県は29日、県内33市町村の2016年度普通会計決算の概要(速報値)を発表した。財政の弾力性を示す経常収支比率は前年度比2・6ポイント高い94・7%で、2年ぶりに過去最悪を更新。硬直化が深刻な100%を超す自治体が5市に上るのは過去に例がないという。
県市町村課によると、高齢化の進展や生活保護受給者の増加、小児医療費助成制度の拡充などで、扶助費は前年度比5・5%増の9477億円。扶助費に人件費と公債費を加えた義務的経費が歳出全体に占める割合は53・8%で、いずれも過去最大に膨らんだ。
経常収支比率が100%を超えたのは、川崎、相模原、横須賀、逗子、三浦の5市。15年度の2市(三浦、南足柄市)から大幅に増えた。最も硬直化が深刻なのは104・0%の三浦市で、最低は83・3%の開成町だった。
歳入総額は前年度比0・9%増の3兆5210億円、歳出総額は同1・4%増の3兆4504億円。子育て支援や障害者自立支援、臨時福祉交付金の給付など市町村の役割が増していることを受け、いずれも2年連続で過去最大を更新した。
一方、法人税収が落ち込んだ自治体を中心に財政調整基金を取り崩し、年度末残高は2年ぶりに減少。ただ、早期健全化基準を超えた市町村はなく、全国的にみれば比較的良好な状況は続いているという。