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IR考
IR・一問一答(3)公明・望月氏

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2019年9月7日(土) 11:51

望月 康弘(公明党)

 林市長が就任されてから10年。市長は待機児童対策、小児医療費助成の拡充、企業誘致の推進、観光・文化・芸術の充実、そして防災減災対策など、市民の安全・安心を守るため、さまざまな政策を行い、成果を残してきたことをわが党として評価している。

 今後の人口減少、超高齢社会の進展で、自治体行政を取り巻く状況はますます厳しさを増すことになる。特に高齢者が増え、若者が減少することは税収減や、社会保障費の増大につながっている。しかしながら、そうした社会経済情勢にあっても子育て、福祉、教育、医療といった市民サービスを低下させることなく、維持していかなければならないことは言うまでもない。市長はこの間、IRについても、そうした考えの下、将来にわたって横浜の持続的な発展と市民生活の安全・安心を確保するため、熟慮された上で有効な対応策の一つとなり得ると判断して、今回の決断に至ったと推察をしている。

 市長は、横浜の将来について責任を持って政策を進めていく立場にある。私ども市会議員も市長と同様に市政に責任を持つ者。共に将来にわたって市民の暮らしに、忠実に責任を持って市政を進めていく。そして市民の皆さまの賛成、反対などさまざまな声に立って、質問をしていく。

 政府が進める日本型IRは、昨年度のIR整備法やギャンブル等依存症対策基本法の成立、この春には政令や、ギャンブル等依存症対策の基本計画の公表など、IRや依存症に対する制度構築が進んでおり、年末に向けてはカジノ管理委員会が設置されると聞いている。こうした国の動きの中で、IRを巡る自治体や事業者の動きが活発になっているが、市では平成26年度から調査・検討に加え、昨年度の12事業者による情報提供の依頼などの調査結果を踏まえ、対外的な公表と市民説明会を実施した。

 そこで一つ、IRをこの時期に判断した理由をうかがいます。

 IR、統合型リゾートとは観光振興に寄与する諸施設とカジノが一体となっている施設で、カジノの収益により大規模な投資を伴う施設の採算性を担保するとともに、民間事業者の投資による集客および収益を通じた観光地振興や、新たな財政的貢献を目的とすると定義されている。国際会議場や展示場、ホテルやレストラン、ショッピング、エンターテインメント施設、そしてカジノなどで構成される一体的整備と運営は民設民営で行われる。また、カジノなどの収益で、その採算性を確保することに加え、観光や地域経済の振興、自治体財政改善に貢献するものである。

 高齢化や、労働人口の減少、税収減少などという現実問題と向き合い、いかに乗り越えていくのか、言葉や感情だけではない、現実的に横浜市民を守る力が求められている。

 このIRという概念は、シンガポールで生まれたものとされている。シンガポールの都市部にあり、MICEなどのビジネスを中心にしたマリーナ・ベイ・サンズ。郊外部の島にあり、ユニバーサルスタジオや水族館からなる、ファミリーで楽しめるリゾート型のリゾート・ワールド・セントーサ。その他、ラスベガスなど、IRと一口で言ってもさまざまなIRがある。市長は横浜で、どのようなIRを実現したいのか、うかがう。

 IRには構成する施設の一つであるカジノに起因をした懸念事項が存在する。政府の検討の中でも、依存症や治安悪化など懸念事項に対して大きな議論があった。そうした中で、懸念事項対策を中心にIR推進法の成立時には16、IR整備法の制定時には31の付帯決議が付いた。特に依存法対策としては、IR整備法に優先して取り組むべきとわが党は強く主張し、その結果、昨年のIR整備法の成立に先駆け、7月6日にギャンブル等依存症対策基本法が成立した。

 世界最高水準といわれるIR整備法のカジノ規制。ギャンブル等依存症対策基本法。カジノを行う区域面積の上限を3%とする政令の成立。そして、ギャンブル等依存症対策推進基本計画では、国、自治体、事業者などの役割の施策が明確になり、ギャンブル依存症や治安対策を進める環境が整いつつある。

 そこで、IRを構成する施設の一つであるカジノに起因をした依存症、治安対策になどの懸念事項対策にどのように取り組んでいくのか、うかがう。

 わが国では、公的に収益を活用することを前提に認めてきた公営ギャンブル。パチンコ、宝くじといった射幸心を高める事業を通じて、依存症を発生させてきた経緯がある。ギャンブル等依存症対推進基本計画では、公営ギャンブルやパチンコなどの対策が決められたが、わが党としては、それだけで十分とは考えていない。ギャンブル依存症の方は、他の依存症に悩まされている方も多く、これらの依存症をトータルで対応する施策が不可欠と考えている。

 最近では、若年層を中心に大きな社会問題となっているネット・ゲーム依存などもあり、さまざまな依存症を総合的に対策することが重要と考えている。依存症を増やさないだけでなく、減らしていくという強力な行動が必要。依存症対策に対して、市立大学と提携した取り組みを請願している。ぜひ、この機会に今後もこうした取り組みを進めてまいりたい。そこで、横浜市としてネット・ゲーム依存などを含め、今後、どのように総合的な依存症対策に取り組んでいくのかをうかがう。

 今回の補正予算案では、IRについて検討準備を進めていくため、アドバイザリー契約や法務支援、インフラ調査、依存症の実態調査などが予算に計上されている。過去6年間の予算は毎年1千万円だったことを踏まえ、2億6千万円という金額は非常に大きい。そしてこのような補正予算を計上した理由をうかがう。今回の補正予算案ではアドバイザリーは債務負担行為の設定もあり、3カ年で2億1700万円が計上されている。今後、本格的な検討を進めていく中で、ある程度、大きな検討、準備が必要となることは理解できるが、適切な予算としていくための必要性の検証など、IRに必要なコストをしっかりと把握すべきだ。

 市長会見の資料には、地方自治体での増収効果が示された。カジノの入場料収入などの税収増は820億円から1200億円ということだ。人口減少、超高齢化社会においても市民サービスを維持していく上では、多様な財源を確保していくことは意義があることであり、IRによる財源確保の方向性はしっかりと示していくべき。これらの増収分をどのように活用していのかという視点も重要。IRを実施する最大の要因が、労働人口の減少などによる税収減を担うことになる。よって、IRで得られる財源は、子育てや教育、福祉など市民サービスの維持・向上に使うと明確にして、しっかりと活用すべきと考える。そこでIRで得られる税源をどのように活用していくのか、うかがう。

 6月末に、昨年度の調査結果の報告会として、中区、保土ケ谷区、都筑区、戸塚区の4区で市民説明会が開かれた。350人の市民が参加し、アンケートでは中立的な意見や賛成意見もあったものの、多くはIRに反対する方々だったと聞いている。そこで、市民や関係者との合意系形成をどのように進めていくのかうかがう。

 一部では既にIR導入が決まったかのような取り上げ方がされているが、わが党はあくまで、IRの実現に向けて本格的に検討の準備をし、より詳細な中身についてはこれから作り上げていくものと認識している。IRのコンセプトやエンターテインメント、そこで得られる経済的・社会的効果、具体的な懸念事項対策など、これから補正予算に今まで以上に具体的な姿を描いていくものだと思う。そうしたプロセスを通じて、あらゆる課題を解消し、丁寧に事業を進めていかなければならなければ、横浜におけるIRの実現にはなり得ない。これまで市長と議会は横浜市や市民のため、さまざまな政策課題に立ち向かっていた。IRは、これまでにない大規模なプロジェクト。IRを今後進めていくためには、これまで以上に市民の代表である市会と責任ある議論を進めていくことが不可欠であると考えるが、市長の見解をうかがい、公明党を代表して質問を終える。

IRをこの時期に判断した理由。

 (市長)事業者から再度提供された情報から、これまでにない経済的・社会的効果を確認した。IR整備法や、ギャンブル等依存症対策基本計画が整い、治安対策やギャンブル依存症の対策が整ってきた。IRは国家的なビッグプロジェクトであり、確実に成功させるためには、綿密な評価分析に基づき、さまざまな課題を解決しながら事業を進めていく必要がある。国の情報では、IRの開業スケジュールは遅れがないとのこと。他都市でのIR誘致に向けて検討を進めている状況を踏まえ、横浜の将来のためにIRを実現する必要があると総合的に判断した。

横浜でどういうIRを実現したいと考えるか。

 (市長)世界水準のMICE施設や、ホテル、エンターテインメントが一体となった都市型のアーバンリゾートにふさわしいIRを作り上げたい。IRが横浜の新たな顔となり、国内外から多くの来街者をお迎えし、インバウンド需要をしっかりと取り組み、観光MICE都市として確固たる地位を確立する。同時にお子様も楽しめるアトラクション施設など、市民の皆さまが憩える横浜の景観に調和したリゾートにしていく。また、IRという経済波及効果を都心臨海部や市外にも広く盛り上げる。さらに、治安や依存症対策など、今後の日本型IRの優良なモデルになることを目指す。

依存症対策や治安対策などの懸念事項対策にどのように取り組んでいくのか。

 (市長)IR基本法では対策として、厳格な免許制やマイナンバーカードによる暴力団の入場規制などを規定されている。また、監視カメラ、顔認証システムの導入、警察と地域との連携による対策を進めるとしている。依存症対策は、IR整備法や国の基本計画により、対策を進める環境が整っている。県とともに医療面などにおいてきめ細かい対策と、病院間のネットワークなどの構築を進めていく。

ネット・ゲームなども含め、今後どのように総合的な依存症対策に取り組んでいくのか。

 (市長)横浜市はこれまでも医療機関や関係団体と連携して、アルコールや薬物、ギャンブルなどの依存症の対策を総合的に行っており、今後も充実する。特にギャンブル依存症については、国において、4月にギャンブル等依存症対策基本法に基づく基本計画が策定されたので、庁内で対策部会を設置した。今後も国と県と連携しながら対策を強化していく。さらに、総合的に依存症対策を進めていくため、庁内で連携会議を設置して取り組むほか、医学部を持つ横浜市立大学では医療面を中心に、研究面、人材面で大きな役割を果たしてもらうよう、今後協議を図っていく。

補正予算を計上した理由。

 (市長)IRは国家的なプロジェクト。実施方針の策定に向け、本格的な検討、準備を進めるために、IRの誘致について、サウンディング調査や市独自のマーケティング調査など詳細な検討が必要となる。さらに山下ふ頭の再開発に伴う周辺の交通対策や、ギャンブル依存症の実態調査など、今後の対応策を考える上で必要となる調査費を計上している。

IRで得られる財源をどのように活用していくのか。

 (市長)IR整備法ではカジノの収入について、観光や地域経済の振興、カジノ整備に伴う費用、懸念事項、社会福祉の増進などに充てられる財源となる。こうした規定に沿って、横浜の都市の活力を維持し、医療、福祉教育、学校の建て替えなど、市民生活の安全・安心をより確かなものにするための財源に重きを置いて活用していく。また、財源を活用していくための仕組みを今後しっかりと検討していく。

市民や関係者の方々との合意形成はどのように進めていくのか。

 (市長)日本型IRの目的や対応、人口減少や高齢化の進展に伴い横浜市が抱える将来の課題、IRの整備による経済的・社会的効果。地域の治安やギャンブル等依存症対策など懸念事項対策など、懸念事項対策について、市民の皆さまに丁寧にお伝えをしていく。18区での説明会、広報よこはまでの広報、インターネットでの動画配信など、さまざまな機会や媒体を使って情報発信し、ご理解をいただくよう進めていく。

市民の代表である議会と責任ある議論を進めていくことが不可欠であるとの考えに対する見解。

 (市長)日本型IRは国家プロジェクトであり、横浜の観光、地域経済の将来をけん引する大変重要な事業。このプロジェクトを成功させるためには、市民の皆さまの代表である市会の皆さまのご理解、ご協力、そして共に推進していくことが不可欠だと思っている。このため、IRの実現に向けた本格的な検討の準備を市会の皆さんに丁寧に報告し、ご意見をいただいきながら、しっかりと連携して進めていきたいと考えている。

8人の質問と、市長の答弁の詳報 ⇒ IR誘致、一問一答 横浜市会で論戦

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