1. ホーム
  2. ニュース
  3. 政治・行政
  4. IR・一問一答(1)自民・黒川氏

IR考
IR・一問一答(1)自民・黒川氏

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2019年9月7日(土) 11:48

黒川 勝氏(自民党・無所属の会)

 IRについては、国政における議論をにらみつつ、これまで数年間にわたり、有識者からのヒアリング、情報提供などさまざまに調査してきたものと認識している。今回の補正予算案では、IR推進事業に2億6千万円が計上された。国の動向やスケジュールを考えると、今後、さらに専門的な調査分析、実施方針の策定、リーガル面でのチェック、交通アクセスなどの課題分析、依存症など懸念事項に対する検討、市民への一層丁寧な説明などのためには、このタイミングで補正予算案を計上する必要があったと理解できる。自民党・無所属の会としても、市長の決断をしっかり評価するとともに、今後、市民に理解していただくための議論を進めていかなければと、改めて覚悟をしている。
 
 質問の前に、「白紙」という言葉の整理をしたい。市長が話していた「白紙」とは、何も決めていない場所に戻った、ということ。ゼロベースから、改めて市の現状や将来を考え、本市の持続可能な成長のために、今手を打っておかなければならないことを、総合的に判断した結果が今回の補正予算案と考えている。

 「白紙から考える」「白紙に戻す」と、「白紙撤回」とは全く意味が違う。それを混同して、やらないといったことを「やる」とうそをついたとか、だから「市民の真意を問え」といった声もあるようだが、発する言葉に責任を持ち、言葉で勝負をする政治家が、言葉の真意を間違って解釈したり、自分たちの都合の良いように解釈をされたりしては困る。言葉が勝手に独り歩きすることに改めて背筋が寒い思いだ。

 改めてゼロベース、つまり、白紙の状態から国やわが党を中心とした議会の動き、都市間競争の流れなどをにらみ、さまざまな角度から検討し、市民や経済界、さまざまな団体の反応なども考慮しつつ、市の将来的な都市経営、財政運営といった観点から、あるいは懸念される課題を払拭(ふっしょく)できるかとの観点からも、市としても推進、断念という選択肢の中から、熟慮と覚悟の上の決断とうかがえる。

 残念ながら過去4回の説明会は、反対派が一方的な発言が目立ったと聞いている。これまでの説明会は、各種検討調査をまとめた報告書の説明会。市長は、6月の説明会をどう評価しているか? 今後、さらに検討を進める中で、実施方針や計画の具体的な進展とともに、依存症対策、治安対策なども具体的になってくる。感情的にマイナスイメージで固まっている人を説得するのは簡単ではない。統合型リゾートという事業の全体像をしっかりと説明し、市民の皆さんの疑問や不安を払しょくする説明会にしなければならない。世界のIRの中で、最高のクオリティーを要する計画として、経済効果や雇用など社会的効果も示してほしい。そこで、市民向け説明会の考え方やスケジュールをうかがう。

 市民への説明責任を果たすことが何よりも大切だと考える。まずは理解を深めていただく、そして納得していただき、賛同していただくための説明会と、何度でも丁寧に理解を深める努力をしていくべきだ。実施方針の策定、事業者選定、実施協定の締結など進捗(しんちょく)状況に合わせて、これからはきめ細かい説明が必要となる。全てにとは言わないが、市長自らが市民の理解を求める機会が必要だ。議会としても担当の常任委員会などで引き続き調査・研究し、事業の成功に向けた議論を重ね、それぞれの節目で議会の議決を経て着実に進めるべきと考える。

 山下ふ頭の土地の多くは市の所有だと聞いているが、多くの港湾関係者が事業を営んでいた場所でもある。事業者に対しても、今後、より丁寧な説明で、懸念を払しょくし、この場所に世界中から人々が集う素晴らしい統合型リゾートを構築することを改めて理解をいただき、協力を得ていく必要がある。事業者の皆さんに対して、どのようにして理解を得ていくか。

 具体的なIRの中身については、これまでも事業者や専門家からの提案、横浜商工会議所をはじめとする経済界からも要望があり、先日は青年会議所主催の経済人会議でも実現に向けたパネルディスカッションが行われたと聞いている。

 これから改めて裏付けのある数字などが出てくることと思うが、パシフィコ横浜ではできなかった大規模な国際会議、コンベンションなどが実施できるようになると思う。そこで、具体的にこういうものが引っ張ってくることができる、というものがあるかをうかがう。

 エンターテインメントに関してもアートや演劇、バレエやさまざまなジャンルの音楽、eスポーツやモータースポーツも含めた各種スポーツイベントに対する期待もある。しかし、全てをIR事業者が独自にハンドリングする訳にはいかないとも考えている。

 エンターテインメントに対して、ハード面やソフト面で、どのように横浜市が行政として関わるかをうかがう。

 既存施設との連携も重要だ。IRと既存施設が観光客を奪い合うようでは、IRの効果を十分に発揮することはできない。新しくできる横浜文化体育館、ケンコーポレーション、ぴあアリーナ、パシフィコ横浜など、さまざまな文化施設や観光施設などとどう連携するか、検討を進めていただきたい。

 さらに、IRによる経済効果を地元が享受するためには、行政としてしっかり関わっていかなければならない。IR事業者はほとんどが海外の事業者であるため、日本人のお金が海外に流出してしまうことを懸念する声もあるようだが、カジノ行為の粗利益の30%は国や横浜市に納付することが法律で決められており、経営状態もガラス張りとなる訳だから、そこまでの心配には至らないと思う。地域に対する貢献や地元企業への発注など、横浜市中小企業振興条例に基づく対応をどのように求めていくのか。

 次に、数字的な件についてうかがう。せんだっての市長の会見資料において、IRへの訪問者数、消費額、経済波及効果、雇用創出効果、地方自治体の増収効果などが示されたが、これはあくまでも事業者から出された数字。今後、横浜市としての数字や、その根拠を明らかにしていく必要がある。今回の補正予算を活用し、効果予測についても詳細な調査研究を行うべきと考えるが、市長の考えをうかがう。

 また、ナイトタイムエコノミーに対する期待も述べられていたが、これはIRだけでなく横浜市の都心部全体の課題でもある。観光庁長官を務めた溝畑宏氏は現在、大阪観光局の理事長を務め、世界最高水準の観光都市・大阪を目指し、夜の観光開発やIRとの連携などを見据え、さまざまなアイデアを提案されている。

 横浜観光というと、東京に宿泊し、午前中、横浜に来て、みなとみらい地区で遊び、中華街で格安のランチを食べ、山下公園を散策し、夕方には東京に戻るか、次の旅行地に行ってしまう観光客が多いのが現状だ。

 ランチタイムツーリズムからの脱却には、今までの常識に捕らわれない斬新な発想を、スピード感をもって実現できる人材や組織体が今の横浜には必要と考えるが、市長の考えをうかがう。

 また、懸念事項の払しょくについてだが、反社会勢力を排除する具体的な手法、青少年に対する悪影響の排除や予防教育、依存症への対策などについては、IR整備法やギャンブル等依存症対策基本法によって、入場料や入場回数制限、20歳未満や反社会的勢力の入場禁止などが定められている。

 また、AI(人工知能)やICT(情報通信技術)を活用した顔認証システムの活用、マイナンバーカードによる厳格な入場管理、自己排除や家族排除による利用制限、事業者・警察・行政・地域社会による全市的な治安環境、安心・安全を守る対策なども事業者から提案がなされている。

 法律による厳格な規制の下で、自治体や事業者による独自の対策も提案・実施されれば、懸念の多くが解消されるのではないか。依存症対策は、互いに体験を語り合うグループを活用した治療が有効とも聞いている。ギャンブルに限らず、依存症対策グループに対する場所の提供や運営の支援なども必要と考える。さまざまな懸念に対する払しょくについて、市長の考えをうかがう。

 東京ディズニーランドは、米国のディズニー社に天文学的な額のロイヤルティーを支払い、浦安の沖合を埋め立てて、絶叫回転コースターもない巨大な遊園地を造り、ディズニーランドだけを目的とした高級ホテルを隣接させる、そんな夢物語のような事業は必ず失敗すると、マスコミや各方面から反対意見が山のように集まったものの、その逆風を乗り越えて今日の成功があると聞いている。

 シンガポール政府は、マリーナ・ベイ・サンズなど、収益を上げにくい会議施設、展示施設のマイナス分をカジノからの収益で補うとともに、ホテル、エンタメ施設、ショッピングゾーンなども合わせて全体で事業を成立させ、都市全体を活性化するビジネスモデルを発明し、沈みかけていた観光客やMICEの件数をV字回復させることに成功し、カジノに対するマイナスイメージを払しょくした。

 今はまだ反対の声が多くあるのは事実。しかし、今日からは、心配する皆さんの声に答えるため、不安解消に向けた説明責任を果たすとともに、ガラス張りの情報公開によって不安や不満を払しょくし、風向きを変えていかなければならない。理解、納得、賛同いただくという3段階の説明が必要だ。

 横浜におけるIRは国の法律によって定められ、政府とも連携し、自治体が主体性をもって事業者とともに進めていく、新しい時代の横浜市を切り開く、まさに、横浜の地方創生に向けた力量が試される大プロジェクトだ。政治家は、集められた税金を再分配してばらまくのが仕事ではない。集められた税金を原資とし、さまざまな工夫を凝らしていくことが重要。例えば、雇用を増やし、経済活動を活性化して税収を増やしたり、子育て支援策の充実によって人口減少に歯止めを掛け、働き盛りの若者を確保したり、地域貢献や国連のSDGs(持続可能な開発目標)に合わせた政策で、健全で意識の高い企業や市民とともに、新しい時代を切り開くために、集められた税金の何倍もの効果を上げることこそが政治家の役割。それを着実に実行し、成果を上げることが行政の仕事だ。

 世界中から英知を集め、じっくりと議論を重ね、市民の理解を得た上で、将来の安定的な成長のため、できることには果敢にチャレンジすることが、市民に選ばれた市長や私たち市会議員の役割だ。

 最後に、政治家としての林文子市長に、成功に向けた意気込みと、私たち議会に対する思いを。

6月の市民説明会についての評価。

 (市長)依存症や治安対策を心配する方が多数いる一方で、観光の発展などを評価する方もいた。また説明会については、理解が深まった方が42%、深まらなかった方が30%と、実施の効果を確認できた。

 いずれにしても、IR=カジノと認識している方が多く、市を取り巻く将来の見通しに加え、市民の皆さんに、日本型IRの仕組み、依存症対策や治安対策の概要などを市民の皆さんに十分にお伝えできていない状況だと考えている。

市民向け説明会についての考え方とスケジュール。

 (市長)私が直接、市民の皆さんにご説明する機会を設けるとともに、説明会の実施方法についても専門家や有識者にもご協力をいただくなど、ご理解をいただく工夫をしていく。

 まずは実現に向けた、現在の横浜市の考え方を伝えるため、できるだけ早期に18区での説明会を行う。誘致に向けた詳細な調査検討や、ギャンブル依存症の実態調査など、今後の検討の進捗(しんちょく)状況に応じて、市民の皆さまに対して、丁寧にご説明を続けていく。

山下ふ頭で事業を営んできた事業者の理解を得る方策。

 (市長)横浜でIRを進めるにあたり、横浜の経済を支える大切なパートナーである港湾関係者の理解を得ることは大変重要なこと。ご心配されている依存症や治安対策、新しい都市型リゾート施設がもたらす効果について丁寧に説明を続け、ご理解いただくよう努める。

誘致が期待できるコンベンションなどの具体的内容。

 (市長)本年度の事業者からの情報提供において、13万8千~19万2千平方メートルという、これまで日本では整備されていない世界レベルの大規模なMICE施設が示された。そのため、これまで誘致できなかった、例えばドイツで開催されるハノーバー・メッセのような世界規模の産業見本市などの開催が期待できる。

 ホテルやエンタメ施設との相乗効果について、世界的企業や、大規模事業者のインセンティブなど従来にない規模で誘致することが可能となる。これまで日本では会場の制約があり、開催が難しかったイベント、展示会など、新たなコンベンションなどの開催が可能となる。IR事業者のノウハウを最大限に生かしながら、海外からの誘客が格段に進む。

エンターテインメントに関する行政の関わり方。

 (市長)日本型IRでは、IRを構成する施設の一つに、わが国の観光の魅力を増進する施設の整備が求められている。劇場、音楽ホール、博物館などが想定されている。今後、策定を進める実施方針の中において、魅力増進施設に、どのような内容を求めていくか。市の考え方を示し、事業者に提案を求めていく。横浜で整備するIRが、日本を代表する高い集客性を持った魅力ある施設となるよう、周辺施設との連携も考えながら、しっかり検討していく。

横浜市中小企業振興基本条例に基づいた対応を求める方策。

 (市長)IRに設置されるMICE施設やホテル、レストランなどの運営には、食材や物品の供給をはじめ、施設のメンテナンスなど、さまざまなサービスにおいて人的、物的な調達が必要となる。IR整備による経済効果を最大限、地域に還元するため、今後、策定する実施方針の中で、中小企業振興基本条例の趣旨を踏まえ、その仕組みについて検討し、市内企業への受注や、市民の雇用を促進していく。

今回の補正予算を活用し、IRへの訪問者数等の数値や金額の効果予測についても詳細な調査研究を行うべきとの考えに対する見解。

 (市長)これまで事業者からの情報提供の数値を基に経済効果などを試算してきた。今後は、サウンディング調査や本市独自のマーケティング調査など、より詳細な調査を進めることで、訪問者数の見込み、経済波及効果、雇用創出効果などの精査をさらに進めて、実施方針に反映する。

今までの常識に捕らわれない斬新な発想を、スピード感を持って実現できる人材や組織体制が必要との考えに対する見解。

 (市長)観光MICE都市の実現のため、これまでもパシフィコ横浜ノースの整備、クルーズポートの強化などに取り組んできた。IR実施に伴い、さらなる飛躍を果たすためには、国の観光戦略を踏まえ、これまでの実績や既存の観光資源と一体となった組織づくりが不可欠と考える。観光人材の育成や組織づくりについて、今後策定する実施方針に位置付け、早急に取り組んでいく。

さまざまな懸念事項払しょくについての考え。

 (市長)IR整備法で、日本型IRは依存症をはじめ、青少年への影響、反社会的勢力の関与など、懸念事項に対して世界最高水準の厳しい規制がされている。さらに国では、競馬など公営ギャンブル含め、依存症に対して、ギャンブル等依存症対策基本法に基づく計画を策定した。ギャンブル等依存症対策推進基本計画では国、県、市、事業者、関係団体が依存症に対して、連携して対応する枠組みが明確にされている。これに従い県とともに、予防、相談、病院間のネットワークなど具体的な対策を講じる。こうした対策に、これまで以上にしっかりと取り組み、みなさんの不安を解消していく

成功に向けた意気込みと市民の代表である議会に対する思い。

 (市長)今回、横浜の将来への強い危機感からIR誘致の決断に至った。私も長い時間が必要というか、白紙とさせていただき、誘致を選択するか、辞めるかという質問を、定例会見でも答えてきた。

 横浜市が、少子高齢化にいち早く突入すること、東京や大阪に比べ法人税が非常に少ないこと、特に東京との法人税の格差は、ものすごいものがある。東京の人口と比べても3・5分の1くらい。そういう環境の中で、大幅に税収が違うのは大変な危機感。私はいつも、市民に安全安心で暮らしていただきたい、このまちに住んで良かったと思ってもらいたいとの気持ちで、さまざまな医療、福祉、子育て支援などに取り組んできた。その基本となるのが、日々、皆さまが働いていただいていることの結果である税収。個人市民税が多い横浜市だが、法人市民税ということにおいても、中小企業をはじめ多くの皆さんにご努力いただいている。そういった方に報いるためにも、税金を無駄なく使うことに今までも注力してきたし、今回の決断は、それが子どもたちにとっても世界レベルの素晴らしい、高いレベルの芸術を本当に人の心を生き生きとさせるエンターテインメントを導入したい。

 日本型IRは国家的なビッグプロジェクトで、日本の、横浜の観光、地域経済の将来をけん引する、大変重要なプロジェクトと思っている。このプロジェクトを成功させるためには理解、納得、賛同が必要。まったくその通りだと思う。まだまだ説明、市民の皆さまのご理解をいただいていない。これからできるだけ早く、私自身が市民のみなさんの元へ、直接おうかがいする決意だ。ぜひとも市会の先生方には協働していただきたいと、切なる願いである。市民に一番近い、先生方のお気持ちを、市民も受け取っていただけると思う。よろしくお願い申し上げたい。

8人の質問と、市長の答弁の詳報 ⇒ IR誘致、一問一答 横浜市会で論戦

カジノ・リゾート施設(IR)に関するその他のニュース

政治・行政に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング