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会見詳報
「成長、発展にIR必要」 会見で林市長

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2019年8月22日(木) 20:18

IR誘致を正式に表明する林市長=22日午後2時5分ごろ、横浜市役所
IR誘致を正式に表明する林市長=22日午後2時5分ごろ、横浜市役所

 横浜市の林文子市長は22日の会見で、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を正式表明した。

 主な冒頭発言は次の通り。

 「皆さま、こんにちは。本日のテーマは一件、IRの実現に向けてについて、ご説明をさせていただきます。IRについてはこれまで、横浜の将来のために何が必要かを見極め、また、市民の方々の心配やご懸念にもしっかりとお答えするために、さまざまな観点から調査・検討を重ねて参りました。このたび、これまでの横浜市における調査・分析の結果や、国の動向などを踏まえ、IR実現に向けて本格的な検討、準備を進めることにいたしました」

 「決断の背景にあるのは、横浜の将来への強い危機感です。2005年から2065年までの横浜市の人口構成の推移をお示ししています(※グラフを示す)。2019年をピークに人口は減少に転じて、生産年齢人口は2065年までに73万人減少いたします。現在の3分の2になる中で、老年人口は実に15万人増加すると見込まれています。これによりまして、消費や税収の減少、社会保障費の増加など、経済活力の低下や厳しい財政状況が見込まれます。このような中、横浜が都市の活力を維持し、子育て、医療、福祉、教育など市民の皆さまの安全、安心、幸せな生活をしっかりお支えしていくためには、どうしたらいいのか。市民の皆さまにとって、最も良い方法は何か。そうした思いで、IRについても私は検討を重ねて参りました」

 「これまでの調査の結果、事業者の皆さまからの提案では、わが国最大級の国際会議場や展示施設、グローバル水準のラグジュアリーで大規模なホテル、一流のエンターテインメントが提供されるアリーナ、お子様も楽しめるアトラクション施設など、ビジネス客からファミリー層にも、そして国内外からの観光客だけではなく、横浜市民の皆さまにも十分に楽しんでいただける統合型リゾートが横浜で実現される可能性が示されました。IRでは昼夜を問わず、ビジネスからファミリーまで、幅広いコンテンツが提供されます。IRには、インバウンド(訪日外国人客)や宿泊客の増加、ナイトタイムエコノミーの充実といった横浜観光の弱点を克服し、成長戦略の中核となる横浜MICEをけん引していく力があると考えます」

 「昨年度の調査を精査したIRの効果をまとめております。まず観光の振興として、インバウンドを含むIRへの訪問者数は年間2千万人を上回り、IR区域内での消費額は4500億円以上と想定しています。また地域経済の振興では、建設時に7500億円、運営時には年間6300億円を超える経済波及効果が見込まれます。運営時は7万7千人以上の雇用創出効果が見込まれています。そして財政の改善への貢献として、820億円から1200億円に及ぶ増収効果を見込んでおりまして、これらの3点で、これまでにない経済的、社会的効果を想定しています。こうした効果を生かして、持続的成長を促す好循環を生み出して、魅力ある都市・横浜のさらなる飛躍につなげてまいります」

 「そして、市民の皆さまの大変なご心配、不安要素であるIRを構成する施設の一つであるカジノに起因した、依存症や治安悪化などへの対策をまとめています。まず、IR整備法では免許制等になりますIR事業者の参入規制。例えば、日本人の入場料が6千円、7日間で3回、28日間で10回とする入場回数の制限、20歳未満の人や暴力団員の入場禁止など、世界最高水準のカジノ規制。これは大変厳しいものでございますが、加えましてギャンブル等依存症対策基本法が制定されました。また、カジノを行う区域の面積上限をIR施設の床面積合計の3%とするIR整備法施行令や、ギャンブル等依存症対策推進基本計画などが、今年4月に示されました。さらに、事業者による懸念事項対策として、マイナンバーカードや顔認証による厳格な入場管理、ご自身による申告や家族による申告に基づき入場制限などを行うこと、事業者と警察を含む行政が連携いたしまして、周辺地域を含めた地域環境対策の強化など、さまざまな懸念事項対策が示されました。このようにあらゆる関係者が協力して、依存症の方を増やさないように取り組む環境や、治安悪化などへの対策を強化する環境が整ってまいりました。今後、秋の臨時国会以降に設置されるカジノ管理委員会で、シンガポール同様の厳しい、具体的な対策が示されますので、依存症の方を増やさない取り組みを進めていきます」

 「6月25日と26日に、市内4カ所で350人の皆さまにご参加をいただきました市民説明会の概要でございます。当日は治安や依存症に対する否定的なご意見が多くありました。しかし一方で、中立的なご意見や、IRに期待する声もございました。また、政府が進めている日本型IRへの理解がまだまだ十分でないことも分かりました。(※円グラフを示して)IRへのご理解がどの程度深まったのかをお聞きしたアンケート結果です。『深まった』、『やや深まった』と合わせて約42%の方が、日本型IRへの理解が深まったと回答されました。また、アンケートの自由意見欄には、『最初は反対だったが、やや考えが変わってきた』などのご意見もありました。今後も市民の皆さまに丁寧にご説明を進めることで、IRへのご理解を深めていただけると考えます。また、経済界からはIRの導入については多くの期待の声をいただいておりまして、横浜商工会議所からは7月に、IRの申請表明について要請書をいただきました」


横浜市が、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の立地場所として想定する山下ふ頭=同市中区
横浜市が、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の立地場所として想定する山下ふ頭=同市中区

 「IRの立地場所でございますが、立地場所は山下ふ頭といたします。情報提供にご協力いただいた12の事業者様全ての皆さまが山下ふ頭を想定されておりました。広大で、シンボル性の高い敷地、利便性の高い交通アクセス、みなとみらい21地区から続く魅力的なウオーターフロントの景観など、都市型リゾートとして大変高いポテンシャルを有している。ですから、ここでやりたいというようなお話でございました。横浜市としても、私もこの地が最適だというふうに考えて、こちらで誘致をしたいと決断しております」

 「日本型IRの概要が示されて、依存症に関する諸制度が整いつつある中、経済効果として、これまでにない経済的、社会的な効果が見込まれて、横浜が抱える諸課題に有効な対応策となり得ることが確認されました。懸念事項では、依存症の方を増やさないための制度など、環境が整ってまいりました。秋の臨時国会以降に設置予定のカジノ管理委員会で示される具体的な対策に、横浜市としてしっかりと取り組んで参ります。また、市民のご心配である、これが本当に皆さまご心配であられます、依存症や治安の対策、日本型IRの仕組みについて、これもまだ私としては、市としてきちんと、いわゆるカジノだけでなくIRという考え方がどういうものかということを、やはり今までまだ、しっかりとお伝えしていないというふうに思っていますので。これから丁寧にしっかりと、18区全てのところに私自身も参りまして、皆さまにご説明をして参りたいと思います。こういった状況を総合的に勘案しまして、横浜市の将来、特に20年、30年先を見据えなければならない、私どもの子どもたちの世代においても、将来にわたり、成長、発展を続けていくためには、横浜においてIRを実現する必要があるという結論に達した訳であります」

 「今後は、スライドでお示ししていますけど、国へのIR整備計画の認定申請に向け、本格的な検討、準備を進めるための予算案を第3回定例会に提出をさせていただきます。横浜におけるIRの実現について、しっかりと取り組みたいという決意をしております」

会見での主な一問一答

「横浜の飛躍にはIR」
「丁寧丁寧に説明する」
「住民投票考えてない」

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を誘致すると正式表明した横浜市の林文子市長。22日の会見での主な一問一答は次の通り。

 -これまで「白紙」と言ってきた中で、決断の理由は。

 「人口減少や高齢化社会が進展し、経済活力の低下や厳しい財政状況が見込まれる中、都市の活力をさらに伸ばしていかなければならない。早くから手を挙げている都市もあるが、関東圏ではまだ(誘致自治体が)はっきりしていない。いつまでも話し合っている場合ではないと、7月の末に決断した。(横浜を)さらに飛躍できるのは、やはりこのIRだろうと考えた」

 -誘致に反対している横浜港運協会と、どのように合意形成をしていくか。

 「いろんな場面での発言とかはもちろん承知している。いろいろな懸念もあって、積極的に発言していると思う。私としてはIRの横浜における必要性を、丁寧に丁寧に説明し、理解を求めたい。話し合いを続けたいと考えている」

 -2017年の市長選では誘致は「白紙」だった。有権者は、市長の説明で納得がいくか。

 「納得していただけるよう最善の努力をする」

 -判断の決め手は。

 「横浜市は今、観光に力を入れている。ただ、大変残念なのは日帰り観光が圧倒的。観光客の87%が日帰りで帰る。東京とか日本全体は50%くらいは宿泊で(旅行先の)都市に訪れる。観光消費額も金額的に差が出ている」

 「福祉や医療にものすごくお金がかかっているのに、税収がこのままでは手当ができない。税収が厳しいのがさらに厳しくなることが予想されている。税収を上げるのに何ができていないのか。税収を上げなければ将来はない」

 -7月末に決断したというが、このタイミングでの表明の理由は。

 「今のタイミングは、各都市が手を挙げている。大阪はすごく先行している。秋の国会でもさまざまなことが出てくる。その前に、やっぱり(手を)挙げねばならないというのが、一番のきっかけ」

 -市民の意見を聞くために、住民投票をする考えは。

 「今のところ考えていない。IR整備法で、住民の意見を反映させる必要な措置として、都道府県等との協議や同意、公聴会の実施、議会の議決など民意の反映方法について規定されている。今後、どのように民意を反映させるかについては、これを基準に考えている」

 -大きな方針転換。選挙に問うべきでは。

 「これから18区を回りながら、丁寧に説明していきたい」

 -市民の理解をどう得ていくか。

 「丁寧な説明会を(市内18区で)順次開いていく。私自身も出て行って、分かりやすく話をしたい」

 -市長の考えは、一貫してIRは進めるべきとずっと考えていて、変わらなかったのか。

 「私自身はカジノとかに行かない、あまり関心はないほうだ。市長になってから、民間と違うマネジメントをしないといけない。いろいろなことを経験して、本当に税収が厳しいということがありながら、一つの方法であると思った。ただ、実際に安定経営ができるのかとか、技術的なもの、人材の問題、いろいろなことを考えてきた。ここから、私たちが検討してきた内容を市民の方々にしっかりお伝えする」

 -17年の市長選を前に「白紙」になった。市民はだまされたという不信感を抱いてもおかしくないのでは。白紙と判断したことは、間違った判断とは思わないか。

 「思わない。事実、白紙だった。『白紙』ということは、どちらにも決めていないということ。まったくやめるということは言っていない。大変恐縮だが、裏切ったという気持ちはない。これからいろんな批判を浴びると思うが、丁寧に説明したい。たくさんの意見をいただき、我々も修正しなきゃいけない部分があれば修正する」

 -山下ふ頭の港湾事業者が反対している。港湾事業者の賛成を得てから誘致する考えはなかったか。

 「ウオーターフロントの開発計画の中で、(山下ふ頭は)エンターテインメントをやろうということがもともとあった。当時はIRはなかったが。市の取り組みを丁寧に説明して、ご理解いただきたい」

 -横浜の観光にとって、IRはどういう存在になるか。

 「横浜の観光の魅力の発信場所になるのではないか。世界の方から見ると、やはり『トーキョー』だ。横浜は知名度としては東京のようには高くないと思う。IRによって集客される方々は、地元のいろいろなお店にもお金を落とされると思う。(横浜で開催した)ポケモンのイベントでも、楽しいところに人が集まる。横浜のIRが、家族も子どももみんなも楽しめる、大人の遊び場もある、非常に象徴的な観光のナイトライフの目玉にもなる。本当の意味での日本型IRを成功させるモデルになりたい。そういう気持ちでいっぱい。これだけの決断をしたので、市民の方にそういう答えを出さなければいけないという覚悟はしている」

 -市民の理解を得られた、得られていないというのはどう判断していくか。

 「とにかく理解していただきたい。住民の皆さまに説明を続けて、都道府県の協議や公聴会の実施、議会の議決、そういうことを経ていく」

 -ギャンブル依存症対策や治安対策に相当な経費がかかるのでは。

 「市の大変な財政負担になっていくとは考えていない。国との問題もある。きちんと精査していく」

 -横浜港運協会はIRができるならば山下ふ頭から撤退しないと明言している。候補地を山下ふ頭以外に検討したり、実現を諦めたりする考えは。

 「ない。とにかく説明を続けたい」

 -市長の今回の政治決断はギャンブルではないか。

 「ギャンブルではない。懸念されている方には心から説明したい」

 -市長として、山下ふ頭を選んだ理由は。

 「ウオーターフロント開発はすごく重要。かなりの広さを必要とする、交通の利便性、羽田との距離。インバウンドをターゲットにしている。異空間というか、非日常性が必要だ。リゾート地って、皆さんが生活の中の非日常性を楽しんだり、日頃の仕事を忘れたりするべきところ。大変いい場所であろうかと思う」

 -他自治体との競争になるが、選ばれる自信は。

 「切磋琢磨(せっさたくま)してやっていきたいという気持ち」

 -どういう色を出していくか。

 「横浜独自の開港からの港町としての圧倒的な魅力(をアピールしたい)」

 -7月や8月、官邸の幹部と会ってIRについて話したことは。

 「ない」

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