民進党衆院議員で元文部科学副大臣の笠浩史氏(52)=9区=と県連代表の後藤祐一氏(48)=16区=が離党を検討していることが表面化した9日、県連関係者からは「離党の検討段階で代表は辞めるべき」「もはや組織の体を成していない」などと嘆き節が相次いだ。後藤氏は同日、神奈川新聞社の取材に「まだ離党を決めたわけではない。民進党が(政権批判の)受け皿たり得るか見極める」と述べた。
同党のある政令市議は「選挙区に『日本ファーストの会』が候補者を立てると困るから、自分だけ辞めるのか」と激怒。複数の地方議員からも「代表のまま離党なんて無責任すぎる。みっともない」「代表自身が究極の反党行為だ」といった声が相次いだ。
ただ、2氏の意向は約1カ月前から党内外に漏れ伝わっており、周辺では「離党は時間の問題で、もはや避けられない」との見方が大勢。党分裂を危惧して慰留を働き掛ける動きがある一方、同調者を推測する動きも広がっていた。
後藤氏は「『県連代表でありながら』という批判は当然だが、6日の県連役員会や常任幹事会でも、言える範囲内で(検討状況を)伝えた」と釈明。前原誠司代表が共産党と一定の距離を置くかを、最重要の判断基準とする考えを示した。
党内では2氏以外にも複数の国会議員が離党を検討している。後藤氏は「党に対する思いも、(離党の)判断基準や時期も違う。いろいろなプロセスを経て一つの塊になるのかもしれない」との見方を示した。
「刺客」擁立も選択肢
5人前後の離党者阻止へ 前原氏
民進党の前原誠司代表は9日、山梨県笛吹市で記者会見し、衆院議員5人前後が離党を検討している事態を踏まえ、次期衆院選への「刺客」擁立も選択肢に、離党阻止へ全力を挙げる考えを示した。「離党したところにも、あまねく候補者を立てていく」と強調した。
先の代表選で前原氏は、離党者への対立候補擁立に否定的な考えを示していた。ただ、7月の東京都議選から続く「離党ドミノ」が止まらなければ大きな痛手となるだけに、軌道修正を図ったとみられる。
大島敦幹事長も9日、山口市での会見で「民進党は政権を目指して活動している。(全選挙区で)候補者の擁立に努力したい」と表明した。
前原氏は会見で「連合の神津里季生会長も離党した人には推薦をせず、取り消すと言っていた」と指摘。会見に先立つ講演では「党のバラバラ感をなくすためには、苦しい中でも支えていただいている党員や自治体議員に思いをはせることが重要だ」と語り、「離党予備軍」をけん制した。
一方で、週刊誌で既婚男性との交際が報じられ離党した山尾志桜里元政調会長については「山尾氏と目指すべき社会像は一致している。現時点で、彼女の選挙区に候補者を立てることは考えていない」と述べた。
前原氏らは、次期衆院選をにらみ、地方組織との基盤構築や連合との関係強化を図ろうと、新執行部の全国行脚をスタートさせた。