2020年東京五輪・パラリンピックの費用負担を巡り、東京都をはじめ神奈川県や横浜市など開催都市の13自治体が、開催経費の財源に宝くじ収益を充てる方向で合意したことが6日、明らかになった。焦点となっていた都外競技会場の輸送や警備といった計350億円の負担にめどが立った形で、一連の問題は最終決着する。
宝くじ収益を充てるのは、▽聖火リレーなどオールジャパンで取り組む経費▽都外競技会場の輸送、警備など行政的経費▽大会機運の醸成やボランティアの育成経費-など。当初から開催自治体の負担としていた恒久施設の整備費にも活用するとし、それぞれの財政負担が軽減される見通し。セーリング会場となる江の島(藤沢市)で神奈川県が予定している40億円の支出も抑制できそうだ。
東京五輪の協賛宝くじは16年度に発行が始まっており、20年度までの収益約126億円のうち、都に10億円、都外の開催自治体に116億円が分配されることが決まっている。13自治体は6日、新たに224億円分を追加発行するよう全国自治宝くじ事務協議会に要望。協議会は10月にも決定するとみられる。
総額1兆3850億円の費用負担を巡っては、5月31日に、都と大会組織委員会がそれぞれ6千億円、国が1500億円を拠出する方向で大枠合意。残る350億円については、開催自治体の反発で「結論先送り」との見方があったが、神奈川県は「既に決着している問題」(黒岩祐治知事)との立場を崩していなかった。
追加発行の合意を受け、小池百合子都知事は「経費の道筋は立った。準備に取りかかるタイミングで、機運醸成にもつながる」。黒岩知事は「主張がすべて通ってほっとした。いよいよ五輪の準備に全力を挙げられる」と述べた。