横浜市は2019年度も、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の関連費を当初予算案に盛り込んだ。その額は調査費として1千万円。同じ名目で同じ額を計上するのは、これで6年連続となる。
市が最初に予算を確保したのは14年度。超党派の国会議員連盟による法制化の動きに歩を合わせた。そこから16年度までの3年間は世界各国の導入までの手続きやギャンブル依存症対策について研究、市内に誘致した場合の年間の経済効果(約4100億円)も試算しつつ、国会の動向を注視していた。
16年12月、政府にIRの整備推進を促す「IR整備推進法」が成立。法制化への第一歩に、林文子市長も当初、「横浜の将来を一層確かなものにしていくために必要」と前向きな姿勢を示した。だがギャンブル依存症が大きくクローズアップされるようになると、その発言も「積極的に踏み込むことは考えられない」と勢いを失った。
それでも市は、カジノ規制や設置上限などを定める「IR整備法案」の国会提出をにらみ、17年度も予算を計上。その一方、林市長は7月の市長選で、誘致の是非を「白紙」として臨み、3選を果たした。結局この年、予算は執行されなかった。
18年7月に整備法が成立したことを受け、市は調査を再開し、具体的な検討に入った。事業者から市内設置を想定した構想案を募集。市長は「とにかくいろんなことを勉強したい」とあくまで情報収集であることを強調したが、反対する市議は「白紙」からの“方針転換”にも映る動きに、「事実上の手挙げ宣言(誘致表明)」と批判した。
再開した調査結果は今年5月にも公表されるとみられるが、市は「判断材料の一つとするだけの精度に至らない」とし、19年度も継続する。
政府が整備区域の選定基準などを定める基本方針を策定するのは今夏ごろ。市長はいまだ、「判断時期は決めていない」とかわし続けている。