小田原競輪場の存廃について検討してきた小田原市は21日の市議会総務常任委員会で、収支改善が期待できる施策の効果額と施設老朽化対策に伴う経費の試算を今後比較した上で「方向性を判断する」と報告した。市は昨年11月に検討会議を庁内に設け、今年2月に今後の方向性を政策決定するとしていたが、存廃の結論は先送りした形だ。
市は報告で、未着手の経営改善策として民間包括委託や、他の競輪場を借り上げて開催するミッドナイト競輪、ガールズケイリンを挙げ、「他場での実績もある」として収支改善策になるか検討を進める。
一方、施設は老朽化が進み、耐震診断も20年以上実施していないため、「安全を確保するために最低限必要な改修費用を把握する必要がある」とした。
この双方を比較し効果額や経費を試算するが、今後の収支見込みについては、「何も対策を講じない場合、2020年度以降、一般会計への繰り出し金が捻出できず、赤字となる」と分析している。
同競輪については、08年に競輪の将来の在り方を考える検討委員会が「赤字、もしくは赤字が予測される状況となった場合には廃止を検討する」と条件付きで存続を認めた経緯があり、17年度に約8100万円の赤字を計上。今後も単年度収支の赤字が予測されたことから、昨年11月に庁内に検討会議を設けた。
小田原競輪場周辺は都市計画上の規制が多く、建て替えやナイター設備の新設ができないほか、女子選手用の控室がなくガールズケイリンの開催も難しいという。
存廃の決定時期について、市の担当者は「できる限り早く結論を出したい」と述べるにとどめた。