教職員が勤務時間外の電話対応に追われる状況を改善しようと、川崎市教育委員会は2019年度、市立小学校と特別支援学校の全118校に留守番電話を設置する方針を打ち出した。学校現場の働き方改革の一環で、当初予算案に500万円を計上した。
市教委がまとめた勤務実態調査によると、「過労死ライン」とされる月80時間超の時間外労働を行う教職員は小学校で26・4%、中学校で58・9%に上る。市教委はこうした教職員をゼロにする目標を掲げ、勤務環境の改善に努めている。
市立学校ではこれまで閉校時間を明確に定めず、教職員が校内にいる限り電話に応対していた。今後は各学校の特色や地域性に合わせ、留守番電話での対応時間を設定。教職員が授業の準備や事務作業に専念できるようにして、残業時間の縮減につなげる。
市教委は導入に先駆けて横浜市や相模原市の先行事例も調査。「翌朝に回せる相談も多いのが実情で、特に問題は起きていないと聞いている。教職員の意識改革にもつなげてほしい」としている。20年度以降の中学校への配置も視野に入れている。
このほか教職員の負担軽減を目的に、学習プリントの印刷業務や来客対応を担う事務支援員の配置を3校から28校に増やすほか、中学校の部活動で引率などができる部活動指導員の配置も3校から7校に拡充する。さらに非常勤職員として弁護士を新たに任用し、過剰な苦情や不当な要求への支援を強化する。いずれも19年度予算案に費用が盛り込まれた。