県は12日、県立障害者施設津久井やまゆり園芹が谷園舎(横浜市港南区)の整備方針を公表した。殺傷事件で19人の命が奪われた千木良園舎(相模原市緑区)と同様に小規模・分散型の居住棟を新設。専門性の高い支援と地域に開かれた園の実現を目指す。
新施設は県が2017年に策定した再生基本構想に基づき、「大規模施設から地域へ」の理念を踏まえて整備。敷地内にあるグラウンドにセンター棟を、隣接する旧せりがや病院跡地に居住棟を建設する。工事は利用者の生活に影響がないよう進め、引っ越しも完成後の一度限りという。
センター棟は管理機能をはじめ診療所や多目的ホールなどを備え、家族や地域住民との交流を促す。相談支援機能も充実させる。居住棟は11人単位の居室を今後決める定員数に応じて整備し、地域生活に近い居住環境をつくりだす。
芹が谷園舎は知的障害児施設「旧ひばりが丘学園」を改修し、現在は仮移転した108人が生活している。整備事業は設計施工一括方式を採用し、維持管理も民間事業者が担う。今年7月に入札を告示し、11月に落札業者が決まる予定。22年3月までに全利用者の入所完了を目指す。
やまゆり園の再生を巡っては、黒岩祐治知事が全面建て替え方針を撤回し、障害者と共に生きる地域の実現を表明。千木良・芹が谷の最大定員はそれぞれ88人とし、利用者の意向確認を踏まえて最終判断する。
地域生活移行に向けた受け皿の充実も図っており、すでに対象者124人全員の意思決定支援に着手。66人がグループホームなどの見学や体験を済ませ、3人は施設以外での新たな生活を始めているという。