
横浜・みなとみらい21(MM21)新港地区とJR桜木町駅前をロープウエーで結ぶ民間の計画の概要が13日、明らかになった。海面から最高約30~40メートルの上空でゴンドラを行き来させる。2020年東京五輪・パラリンピック前の営業開始を目指す。
同日の市会建築・都市整備・道路委員会で、MM21地区で「よこはまコスモワールド」を経営する泉陽興業(大阪市)が提案した計画を市側が報告した。
ロープウエーの名称は「YOKOHAMA AIR CABIN(仮)」。延長約630メートルで、海上の遊歩道「汽車道」の南側に沿って整備する。

運河パークと桜木町駅前の両サイドに、鉄骨2階建ての駅舎を設け、ロープウエーの支柱を地上に2基(高さ約10メートル)、海上に4基(約30~40メートル)それぞれ建てる。ゴンドラの定員は8人で、空中の乗車時間は片道2~3分程度。
提案時の整備費は約60億円。公費負担はなく、市は駅舎設置に必要な手続きや周辺地域との調整などで支援する。同社と市は18年度中に実施協定を結び、19年度に着工する見通し。林文子市長は同日の定例会見で「都心臨海部全体の回遊性向上や活性化につながる」と期待した。

回遊性向上に期待/景観への影響懸念
概要が明らかになったJR桜木町駅周辺でのロープウエー計画。さらなる集客や回遊性の向上に期待する声が挙がる一方、景観への影響などを懸念する意見も出ている。
「こうした都市型のロープウエーは日本にはなかった。海外ではバルセロナやロンドンにあり、一つの名所となって観光客を集めている」。同日の市会常任委員会で、小池政則都市整備局長は海外の事例を引き合いに、新たな交通機関の持つ誘客効果を説明。「積極的に提案者と取り組みたい」と力を込めた。
MM21地区、桜木町と関内両駅周辺は、市のいわば“顔”。一方で、海側と内陸側をつなぐ移動手段に乏しいのが課題だ。ある委員は「赤レンガ倉庫から桜木町駅まで距離があるが、(開業すれば)観光客や来街者にさらに横浜を楽しんでもらえる」と回遊性向上を期待。新港地区の駅舎からスムーズに周辺施設に移動できるよう、デッキ整備を求める声も上がった。
これに対し、MM線馬車道駅近くの北仲通北地区を再開発する事業者は、景観への影響を懸念する。事業者でつくる「横浜北仲エリアマネジメント」は1月、「長い時間をかけて形づくってきた都市景観に大きな影響を及ぼす」とする意見書を市長に提出。地区近くの内水域に海上の支柱3本を建ててゴンドラが通過する計画を「北仲通北地区や万国橋、汽車道からの眺望を著しく阻害する」とし、「(市や提案事業者の)進め方はあまりにも拙速に過ぎる」と批判している。