国政選挙の際に自宅のパソコンやスマートフォンで投票が可能になる「インターネット投票」の実現に向け、政府が試験的なシステム開発に乗り出す。2019年度に実証実験を実施し、セキュリティー面での対策などを検証。まずは利便性が悪いと指摘されている在外投票での導入を想定している。技術的な信頼性が確立されれば、病気や障害などで外出が難しい有権者の投票のハードルを下げる意味でも、国内での導入にも期待が高まりそうだ。
海外在住の邦人を対象とした在外投票では、大使館や総領事館に設けられた投票所に行くか、郵送で投票を行う。期間は原則として国政選挙の公示翌日から投票日の6日前までと短い上、投票できる場所も少ない。このため、投票所に行くことなくネット上で一票を投じることができればと、利便性の向上が期待されている。
海外からのネット投票について、総務省の有識者研究会は具体的な方法を検討。昨年8月にまとめた報告書で有権者が個人の端末からマイナンバーカードを活用してシステムにログインし、投票することを提案した。投票結果はデータ化され、専用のシステムで集計した上で、最終的には国内の一般の票と合わせて集計する。
問題となるのは個人が誰に投票したかの秘密の確保や、システムの信頼性。報告書では、投票データを暗号化することで秘密は確保でき、システムのダウンやデータの改ざんについても技術的な対策は可能と結論付けている。
これを受け、総務省は19年度予算案に試験的な投票システム開発の関連経費として2億5千万円を計上。19年度中に、問題点を検証する実証実験を行う考えだ。