神奈川県の包括外部監査人は8日、環境政策をテーマにした2018年度の監査結果を報告した。「地球環境戦略研究機関」(IGES)に対し、県が施設の無償貸与など当初の誘致計画以上の支援を行っていることなどを挙げ、その理由や内容を明記した文書の作成などを「意見」として求めた。
IGESはアジア太平洋地域を重点に持続可能な開発の実現を図ることを目的に、1998年に設立。湘南国際村(葉山町)内の県の施設で業務を行っている。
建物は県住宅供給公社が建設、県は公社が負担した資金を2002年度から賃借料として公社に毎年約2億円を支払っている。これまで16年間の総額は約33億円で、32年まで支援が続く予定だ。
IGESの誘致計画ではここまでの支援内容は書かれておらず、「誘致計画と比べ支援内容が一部変更になっている」とし、「支援する理由や内容などを明確に整理した文書の作成」が望ましいとした。また、IGESの知見やネットワークを活用して県の施策を検討することを求めた。
監査結果は、是正措置が必要とされる「指摘」が4件、改善を要望する「意見」が44件だった。監査人の品田和之氏(公認会計士)から報告を受けた知事は「IGESと県の進める事業の連携が十分でないと監査で浮き彫りになった。あらためて仕切り直し、連携を深めるようにしたい」とした。