
7月30日投開票の横浜市長選は、16日で告示まで1カ月となった。これまでに現職の林文子氏(71)と、元衆院議員の長島一由氏(50)が出馬を表明。市議の伊藤大貴氏(39)も民進党に推薦依頼を出し、同党県連は林氏と伊藤氏の2人に対する自主投票の方針を決めている。伊藤氏は15日現在、出馬を正式表明していないが、「反カジノ」を掲げる2新人が現職に挑む三つどもえの戦いとなる可能性が出てきた。
林氏は待機児童対策や区役所の対応満足度向上など2期8年の実績をアピールし、市政の継続と発展に意欲を見せる。市内選出の菅義偉官房長官(衆院2区)が応援を宣言し、自民、公明両党も推薦を決めた。
トーンダウン
対する新人は、昨年12月に成立したカジノを含む統合型リゾート(IR)の整備推進法を受け、カジノの是非を争点に掲げる。
市が臨海部の新たなにぎわい拠点として再開発計画を進める山下ふ頭(同市中区)は、IR誘致の有力候補地とみられてきた。同法成立時には林氏も、臨海部の活性化や財政基盤の強化などを理由に、誘致に前向きな姿勢を示してきた。
だがカジノ導入に対する国民の反感は強く、年明けの1月には長島氏が「カジノは市長の権限で止められる」と「反カジノ」を掲げて出馬表明。林氏は同月に「積極的に踏み込むことは考えられない」とトーンダウンし、今月6日の出馬会見でも「カジノについてはニュートラル」と繰り返し、判断を明確にしていない。
民進自主投票
民進党は民主党時代の2009年の市長選で林氏を擁立、13年の選挙では自民、公明とともに林氏を推薦した。今回も市議団では林氏の2期目の評価を「合格点」(県連幹部)としており、支援団体の連合神奈川も林氏の実績を評価して推薦を決めている。
しかし同党内では、市内選出の江田憲司代表代行(衆院8区)が「党の方針はカジノ反対。反カジノを明言する候補を探す」と独自候補の擁立に動いた。林氏が同党に推薦を依頼した数時間後の6日夜に、江田氏の元秘書である伊藤氏の擁立が本格化。同党県連は推薦依頼を受けた林、伊藤両氏について協議したが、旧民主系が林氏、旧維新系が伊藤氏を推して議論はまとまらず、「県連が割れてはいけない」(後藤祐一代表)と分裂回避を優先させて、2人とも推薦せずに自主投票となった。
反カジノを訴える市民団体や共産党は伊藤氏の支援を検討している。
50歳の長島氏に加え、39歳の伊藤氏が出馬すれば、世代交代も焦点になりそうだ。