横須賀市の吉田雄人市長は13日の会見で、公共事業用地を先行取得してきた100%出資の外郭団体「市土地開発公社」(鈴木正理事長)を廃止する意向を明らかにした。2013年度までに用地の買い戻しを進めた後、外郭団体の整理に充てる特別な市債「第三セクター等改革推進債(三セク債)」を発行して残り用地の債務処理を進める。
市資産経営課によると、市土地開発公社が保有する土地の時価(簡易評価)はバブル崩壊後の地価下落が影響し、今年3月末現在で約64億円。一方、簿価は金利負担分や維持管理費がかさみ、約85億8千万円に膨らんでいる。市が21億円以上を債務負担しなければならず、今後も増えることが懸念されている。
市は10年度からの4年間で約3・2ヘクタールを買い戻し、簿価(09年度末時点)を約27億6千万円減らす計画を立てている。これにより金利負担などによる簿価の増額を抑えた後、三セク債を発行して一挙に残りの保有地を引き継ぐことを検討している。
三セク債は市が直接発行するため、公社が金融機関から借り入れるより低金利になる。国は13年度を発行期限としている。
吉田市長はマニフェスト(選挙公約)で、土地開発公社など役目を終えたとみられる外郭団体の見直しをうたっている。会見で「基本的には、三セク債が借りられるときまでには公社の見直しを終わらせたい」と述べた。
県内では昨年、松田町が公社を廃止。三浦市は現在手続きを進めているほか、横浜市が13年度に公社を廃止する方針を固めるなど三セク債を活用した廃止の動きが活発化している。
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