子宮頸(けい)がんのワクチン接種への公費助成実現へ向け、与野党双方の動きが活発になってきた。「命が救える」との政策効果の分かりやすさに加え、予測される財政負担も「子ども手当」など民主マニフェスト目玉施策よりも、はるかに割安だからだ。助成のあり方をめぐる前向きな議論が広がれば、参院選の目玉公約に発展する可能性も高い。
与党時代から運動を進めてきた公明党の試算では、無料化を前提とした公費助成と検診無料クーポンの恒久実施財源は、年間約400億円という。また、産科医で民主党衆院議員の仁木博文氏は、ワクチン接種無料化の公費負担を約210億円と試算している。
公明党は政府要望(3月29日)の際、長浜博行厚生労働副大臣に「子ども手当に2兆円強の財源が充てられたが、公費助成とクーポンは、その50分の1の財源で実現できる」(松あきら同党副代表)などと説明。「現物支給」の充実を錦の御旗として「子ども手当」などの見直しを進めたい政府の本音を見透かし、助け舟を出した。
また、松氏は要請直後に「子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成推進実行委員会」の共同代表・仁科亜季子氏と会談。同会の署名活動(5月末に政府申し入れを予定)への協力を約束している。
その仁科氏が民主党の小沢一郎幹事長と面会した4月9日は、子宮頸がん予防を訴える全国運動の「子宮の日」。面会を仲介した仁木氏は同月22日、同党の厚労政策研究会に子宮頸がんの専門家を招き、ワクチンの効果、公費助成に対する党内への理解を広げた。
民主党も5、6日の2日間にわたり党本部で開いた「女性議員ネットワーク会議」の締めくくり研修の講師に仁木氏を起用。自治体議会への協力を呼び掛けた同氏に対し、参加者からは「意見書の扱いなどについて、県議団で前向きに議論したい」(計屋珠江県議)との反応が聞かれた。
他の野党に目を転じても、共産党の小池晃政策委員長(参院全国比例、南関東担当)が4月13日の参院厚生労働委員会で政府に対し、子宮頸がんのワクチン接種への公費助成実現を要求。自民党も闘病体験を持つ女優・三原じゅん子氏を招いて勉強会を開くなど、子宮頸がん対策についての関心は与野党の壁を越え、広がりつつある。
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