神奈川県内33市町村の税収が859億円減の見込み、落ち込み幅は過去30年で最大
政治・行政 | 神奈川新聞 | 2010年4月6日(火) 00:38
県内33市町村が2010年度当初予算で見込んだ地方税収入は総額1兆5905億7300万円で、前年度当初からの落ち込み幅が過去30年で最大となる859億3100万円(5・1%)に上ることが、神奈川新聞社の調査で分かった。すべての自治体で税収がダウンし、歳入全体に占める割合は1980年度以降最低水準の50・2%にまで下落。景気低迷で歳入の柱が崩れ、自治体の「非常事態」(林文子横浜市長)はさらに深刻化している。
長引く不況の影響で企業収益の落ち込みに歯止めがかからず、法人税総額は前年度比301億7438万円(25・5%)減の880億6345万円に減少。個人税(総額6407億566万円)も全市町村で前年度当初額を下回り、横浜、相模原、大井、開成の2市2町が新たに普通交付税の交付団体となる見通しだ。
法人税の減額率が県内最大(71・7%減)だった大井町。税額は08年度決算の約1割にあたる1億250万円に激減した。金融危機の影響が残る地元大手企業などからの税収は「平成で最低」に。地方税収全体では10・2%(3億1675万円)減少し、6年ぶりに交付団体となる見込み。
輸出関連の製造業が集積する愛川町は法人税が58・2%(5億8622万円)減少、「1億円からゼロになる企業もある」。市税収入が7年ぶりにマイナスに転じ、30年前の低水準に落ち込んだ川崎市も法人税の大幅減(46・8%=99億2427万円)が響いた。
長引く不況の波は、前年所得を基に算出される個人税にも及ぶ。個人市民税が前年度比10・8%(338億2200万円)減少する横浜市は「地方にとっては10年度が一番厳しい」。寒川町(13・4%減)、松田町(10・6%減)も2ケタの減額率となった。
「景気回復を待って数万円でも多く納めてもらえる時期が来るのを期待するしかない」(県央地区の自治体)。各市町村は、少子高齢化や生活支援策の拡大で膨らむ社会保障費の増加に直面しながら、財源不足への“衝撃緩和策”を模索している。
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