松沢成文知事は9日、県の2010年度当初予算案を発表した。県税収入の大幅な減少が見込まれる中、過去最大となる2800億円の臨時財政対策債(赤字地方債)などを活用。一般会計は2年ぶりにプラス編成となり、前年度当初比1・9%増の1兆7582億円となった。予算案は15日開会の県議会に提案される。
歳入面では、不況の影響により収入の柱の一つである法人2税(法人県民税・法人事業税)が前年当初に比べ30・9%減の1580億円。1400億円台だった1977年度に次ぐ低水準となり、県税収入は9325億円(前年度当初比14・1%減)と、5年ぶりの1兆円割れとなった。
財源不足の1250億円を補うため、前年度当初比で約1200億円増となる臨財債を発行して工面。人件費で234億円、事業の見直しで196億円削減するなどしたが、不足分には及ばなかった。
臨財債を除いた県債は636億円(前年度当初比42・7%減)と減少したが、将来の交付税措置が見込める臨財債を含めた県債発行額は3436億円、依存度も19・5%でいずれも過去最大となった。残高も前年度に続いて3兆円超の3兆3533億円と過去最大となり、県民1人当たりの「借金」は約37万2千円で過去最悪を更新した。
歳出では、雇用・就業機会のための基金事業に前年度の倍近い138億円を計上するなど、生活支援に力点を置いた。介護医療費や人件費、市町村への交付金などの「義務的経費」がかさみ、1兆4039億円と前年度とほぼ同程度となる約8割に上った。
国の子ども手当の創設に伴って児童手当は52億円の増を見込んだ。一方、国の予算案で公共事業費が前年度当初予算案に比べて約18%削減された影響で、県の公共事業などは全体で807億円と、相模原市の政令市移行分を除いた実質の前年度当初比で17・8%減った。県単独土木事業については328億円と実質4・4%減にとどめた。
一般、特別、企業の全会計の総額は2兆7292億円(2・6%減)。
また相模原市の政令市移行に伴う影響額は、一般財源ベースで約20億円のマイナス。
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