2020年東京五輪・パラリンピックで、目下最大の懸案だった費用負担問題が急展開した。小池百合子都知事が仮設費の全額負担を表明したのは、黒岩祐治知事ら3県のトップが安倍晋三首相に直訴した2日後。約500億円の拠出を巡り小池知事側が決断を迫られた形に映る背景には、都議選をにらんだ官邸サイドの思惑も見え隠れする。首都圏の知事を巻き込んだ政局の舞台裏には何があるのか-。
9日午後6時前、首相官邸。黒岩知事を乗せた黒塗りの公用車が右折レーンから滑り込む。直後に埼玉県知事が到着し、千葉県知事も合流。丸川珠代五輪相も呼ばれ、応接室で菅義偉官房長官と向き合った。
「五輪は非常事態。費用負担を早く決めてもらわないと成功が危ぶまれる」。黒岩知事の発言を受け、菅氏は「総理も『お目にかかりたい』と話している」。
役者がそろった首相執務室。