「驚いた」「無責任だ」―。中田宏横浜市長の突然の辞職表明は、衆院選に向けて走りだしていた県内政界にも衝撃を与えた。将来の国政転身への意欲もにじませる中田市長。市長選が衆院選と同日実施される見通しも相まって、国政関係者の間にはさまざまな思惑も交錯しているようだ。
自民党の菅義偉県連会長は「360万人の経営者として、あまりに無責任な辞め方」。公明党県本部の上田勇代表も「開国博Y150などがある中で、少し無責任な印象を受ける」と、市長の決断を批判した。
その上で、「市政はイデオロギーを持ち込むところではない」(菅氏)、「国政の争点を首長選に持ち込むべきではない」(上田氏)と述べ、市長選への候補者選定は衆院選とは切り離して考えるべきだとの意向も明らかにした。
これに対し、国政の場で自公と対峙(たいじ)する民主党県連の笠浩史代表は「出処進退は本人が決めることだが驚いている」とし、「市長選と衆院選に関心が高まることはいいこと。公党として選択肢を出す責任はある」と市長選で支援候補の擁立に意欲を示した。
民主党県連選対委員長を務める水戸将史氏(参院神奈川選挙区)は「相乗効果で小選挙区勝利につなげたい」とした上で、「中田氏サイドが後継を考えているならば連携も視野に入れる必要がある」と語った。
一方、市長が衆院議員時代に地盤としていた8区から立候補を予定している自民党の福田峰之氏は「市長に近い県議や市議が多く、区内の政局に少なからず影響を与える」と話し、衆院選が間近に迫る中での情勢の変化に気をもんでいた。
【】