松沢成文知事は3日の会見で、県内に約30カ所ある海水浴場を禁煙にするため、2010年夏に向け、県内一律での規制を検討することを明らかにした。海水浴場の設置許可などを定めた「県水浴場等に関する条例」改正などにより、喫煙所を除く砂浜での原則禁煙などを目指す。海水浴場の禁煙を定めた市町は数例あるが、都道府県単位では全国初の試み。
松沢知事は、海水浴場の禁煙化が必要な理由として、環境美化、安全面、受動喫煙防止―の3点を挙げ、「ハワイや豪州ゴールドコーストなど世界の有名海岸はほとんどが禁煙。国際基準に合わせて湘南海岸などのイメージアップにつなげたい」と強調した。
県のたばこ対策では、県議会での攻防の末、3月に「公共的施設受動喫煙防止条例」が制定されたばかりだが、知事は「次の目標として、県内の海岸を国際基準を満たす世界に誇れるものにしたい」と言明。「実効性を確保するために罰則を含めて議論する」と、受動喫煙防止条例に続く罰則付きでの条例化に意欲を示した。
県によると、静岡県熱海市や和歌山県白浜町が海水浴場での禁煙を条例で定めている。海外では米国、豪州、香港などの多くの海岸で、罰則付きの喫煙規制が実施されているという。
県内の海水浴場では湘南や三浦海岸を中心に、昨夏だけで約460万人の人出があったが、喫煙を規制している海水浴場はない。知事は「利用者のマナーに委ねられる部分が大きく、砂浜での歩きたばこや吸い殻のポイ捨ては多い」と、モラル頼みでは限界があることを指摘する。知事自身が、海水浴場がある県内14市町の首長に確認したところ、いずれも条例化に賛同する姿勢を示したという。
7月中には県と14市町による検討会を設置。今夏に各海水浴場で実態調査を行った上で、既存条例を改正するか、新条例を制定するかなどの規制手法の協議に着手する。来夏の海開きに間に合うよう、県議会の12月定例会での議案提出を目指すという。
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