
横浜市の基幹病院「市立市民病院」(保土ケ谷区岡沢町)の再整備について、市が三ツ沢公園南側の野球場と隣接する古河電工(本社・東京都千代田区)の社宅の土地を候補地とし、土地の取得に向けた交渉を始める考えであることが27日、分かった。広域避難場所の三ツ沢公園と災害拠点病院の市民病院を一体的に整備することで、震災時の屋外治療スペースを公園内に確保、一大災害医療拠点として活用したい考えだ。
市関係者によると、市民病院は敷地面積約2万平方メートルで1960年に開設。医療需要の多様化に合わせて再整備を繰り返してきたが、医療機能の拡充などで施設が手狭になっていた。さらなる拡充や医療機器の更新が困難になってきたため、再整備に向けて検討を進めていた。
再整備の候補地について、約3万平方メートルの土地で、現在と同規模の650床とすることを前提に、(1)現在地(2)三ツ沢公園(神奈川区)周辺(3)新桜ケ丘地区(保土ケ谷区)(4)岡野西平沼地区(西区)(5)羽沢地区(神奈川区、保土ケ谷区)-の5パターンを検討していた。
移転の距離が約500メートルで済むため診療圏への影響が少ないことや、病院と公園を一体的に整備することで防災機能の強化が図れるというメリットを考慮し「三ツ沢公園周辺」を選択。土地取得後、移転完了まで6~7年かかるとみられ、移転後の病院跡地には新たな野球場を整備する考え。
大震災など災害時における防災機能の強化については、病院屋上や公園内をヘリポートに指定することで患者搬送の中継地点として活用できるほか、病院内のスペースを各地から派遣されてきた災害医療チームの活動拠点として提供することを想定。負傷程度に応じて治療の優先順位を判断する「トリアージ」や、感染病患者の診察・処置スペースとして広い公園を活用することも期待できるとしている。
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