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羽田-川崎連絡道路の行方は 「神奈川口」構想から10年

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2013年11月16日(土) 23:37

 京浜臨海部が国際戦略総合特区に指定され12月で2年。羽田空港を望む川崎臨海部・殿町地区ではライフサイエンス(生命科学)に関連した研究機関や企業の集積が進む中、羽田空港に直結する道路の行方にあらためて関心が集まっている。特区構想の具体化が、製品の輸出や人の往来など国境を越えた事業展開を円滑にする直結道路の必要性を再浮上させた格好だ。「神奈川口構想」の浮上から10年、宙に浮いた羽田連絡道路の行方は-。

「ぜひ橋を」

 10月、特区で進む人工多能性幹細胞(iPS細胞)を活用した再生医療の産業化をテーマにしたセミナーの壇上、岡野栄之慶応大学教授は連絡道路の必要性を説いた。


羽田空港(手前)から多摩川を挟み広がる川崎市の臨海部(川崎市提供)
羽田空港(手前)から多摩川を挟み広がる川崎市の臨海部(川崎市提供)

 「少なくともアジアならどこへでも輸出できるよう、ぜひ橋(羽田連絡道路)を造ってもらいたい」

 iPS細胞の実用化が加速しているいまこそ、完成までに時間を要する道路の位置付けを明確にすべきというわけだ。

 「毎週、海外へ出張している。連絡道路は単に空港ではなく、アジアをはじめ世界に直結するインフラだ」。いち早く特区に進出した実験動物中央研究所の野村龍太理事長も同じ認識。ポリオ撲滅に向けて開発したマウスが世界保健機関(WHO)の正式検定動物として採用されたことを引き合いに、「病気との闘いに国境はない」と熱っぽく訴える。

「お蔵入り」

 羽田空港の再拡張・国際化に伴い、殿町地区を含む多摩川沿いの一帯(約113ヘクタール)の整備を掲げた神奈川口構想。羽田連絡道路は、空港国際化事業に対する県、横浜、川崎両市の拠出金(無利子貸付金300億円)の対価として、3者が構想の主要プロジェクトに位置付け、国などに整備を要望してきた。

 だが実現へ具体的な動きが乏しいばかりか、「神奈川口という名称が、地域エゴという誤解を招いたかもしれない。大田区側との折り合いがつかず、名称としては事実上お蔵入りした格好だ」と元県幹部。

 民主党政権下で大田区側も国際戦略総合特区に指定され、地方議員間で両特区の連携を模索する機運が高まったものの、課題も浮き彫りに。

 民主党川崎市議団と勉強会を開いてきた同党の山崎勝広・大田区議は「羽田空港跡地のまちづくりは、住民が強制退去させられたGHQ(連合国軍総司令部)時代からの悲願。大田区全体への波及を考えると、インフラとしては国道357号や、京急空港線と東急多摩川線を連絡する『蒲蒲線』の整備が優先になる」と、インフラ面での合意形成の難しさを指摘する。

追い風期待

 風向きを変えたい川崎側が期待するのが、特区指定による追い風だ。

 殿町地区(約40ヘクタール)では、空港との近接性を前面に推し出した市やUR都市機構の誘致策が奏功。今年に入ってからも、世界トップクラスの外資系、国内大手の医療機器メーカーの進出が決定し、川崎市幹部は「さらに国内外の複数の医療関連企業が関心を示している」と明かす。

 10月には県内の特区拡大が認められ、4区域から17区域になった。特区推進を担うライフイノベーション地域協議会の金澤一郎会長は「特区形成の芽がもう出てきたと実感している。わずかな期間でここまで来るとは思わなかった」という。

今後の展望について、特区を担当する川崎市の三浦淳副市長は「研究機関や企業の集積によって、中身を充実させることが先決。必要なインフラは次の段階でおのずと具体化していくのではないか」と期待を口にする。

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