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酒匂川の土砂流れ回復へ、県が関係機関と連携強化/神奈川

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2013年5月6日(月) 19:34

今年1月から3月にかけて浚渫が実施された飯泉取水堰=小田原市内の酒匂川
今年1月から3月にかけて浚渫が実施された飯泉取水堰=小田原市内の酒匂川

県は2013年度から、酒匂川の土砂管理を効率的に進めるため、関係機関と連携した新たな取り組みをスタートさせる。土砂流入による河床上昇や海岸侵食が深刻化しており、上流から河口まで一貫した対応で適切な土砂の流れを回復させる。

県は04年3月、「酒匂川水系土砂管理検討委員会」を設置。専門家と国、県、静岡県の行政関係者がメンバーとなり、対応策などを盛り込んだ「酒匂川総合土砂管理プラン」を今年3月に策定した。

プランでは、基本方針を「治水・利水の安全度を向上させながら、生態系に配慮した土砂環境の改善を目指す」と定めた。土砂の移動に従って山から海までを「流砂系」として一体的に捉える。

対応すべき喫緊の課題として、記録的豪雨に見舞われた10年の台風9号による被害や影響を指摘。上流域の静岡県側で発生した山腹崩壊や護岸の崩れで多量の土砂が流れ込み、堰(せき)での取水に支障が生じ、濁りの長期化でアユの生息環境を悪化させた。

防災面ではこれ以降、堆積土砂による河床上昇で浸水被害の拡大を心配する声が、下流域の小田原市内などで高まっている。

このほか、三保ダム貯水池の堆砂量が11年12月現在で約820万立方メートルに急増、想定より早いペースで計画量の約8割に到達した。一方で、河川からの土砂が減ったため、海岸線が大幅に後退するなどの課題を列挙している。

こうした厳しい現状を踏まえて(1)土砂移動の回復・保全(2)治水・利水安全度の確保(3)生態系・利用環境の回復・保全の三つの目標を設定した。

目標達成は3段階で進める。第1段階は13年度からの5年間を想定。堆積土砂の除去など、10年の台風9号で引き起こされた影響の回復をメーンに対策を講じていく。

プランを策定した背景には砂防堰堤(えんてい)、ダム整備、河川改修、海岸養浜など、従来実施してきた領域ごとの対策の限界がある。

小田原市の飯泉取水堰を管理する県内広域水道企業団は10年度2万3千立方メートル、11年度4万2千立方メートル、12年度3万5千立方メートルと例年を上回る量の浚渫(しゅんせつ)を強いられた。「まだ安心はできない。上・中流域に多くの土砂が残っている」(同企業団)と警戒感を緩めていない。

県も河床上昇の解消を図るため、10年度約6千立方メートルだった掘削量を11年度4万9千立方メートル、12年度7万立方メートル、13年度7万5千立方メートル(予定)と増やし、対応している。

県流域海岸企画課は「プランに基づき対応策を実施、検証する組織を本年度に立ち上げる。目標の数値化は難しいが、静岡県の管理者にも入ってもらい、課題を解決していきたい」と話している。

森林荒廃で失った水源涵養(かんよう)機能を取り戻す丹沢大山自然再生事業の進捗(しんちょく)状況や、高度成長期に着工したダムの役割もあらためて問われそうだ。

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