三浦市は、2013年度当初予算案で、売れないまま多額の負債が生じていた二町谷地区の埋め立て地の売却を見越した収入として20億円を盛り込んだ。市は財政の健全化に一定の効果を期待している。
吉田英男市長は18日の会見で、市外の水産加工関連の企業1社と売却交渉を進めていると明らかにした。「実現できることを見越して予算計上した」と話した。埋め立て地8・6ヘクタールのうちの4・4ヘクタールで、売却できれば07年に分譲を開始して以来初めてとなる。
埋め立て地は地元水産業界の要望を受け、市土地開発公社などが造成したが、工事の長期化などから売却が進まないまま塩漬け状態が続いていた。借金だけが膨らみ、市は10年に公社を解散。国の第三セクター等改革推進債(三セク債)を活用して約105億円を起債して公社の負債を肩代わりし、30年間かけて返済する計画を立てた。
市は13年度当初予算案で、売却による収益の見込みとして20億円を三セク債の償還のために設けた特別会計に計上。基金に積み立てるほか、13年度は3億7千万円を返済に充てる。公社の解散後、元金の返済と利息の支払いのために行っていた一般会計からの繰り入れも削減できる。
売却の実現で、201・3%(11年度決算)と県内の市町村で横浜市に次いで高い「将来負担比率」(財政規模に対する負債の大きさを示す数値)などの健全化判断比率の改善が期待される。ただ、財政の硬直度を示す経常収支比率の試算は13年度予算案でも103%と高水準のままで、投資に回せる財源は乏しい。
人口の流出や高齢化が進む中、抜本的な財政状況の改善に向け、「企業誘致を市内経済の活性化に結びつけたい」(市財政課)としている。
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