川崎市の重症患者救急搬送における「現場滞在時間30分以上」の割合が、大幅に改善されたことが24日、分かった。2007年から09年までは16%台で推移し、3年連続で政令指定都市と東京23区の中でワーストだったが、12年は11・5%まで下がった。医療機関での患者の受け入れ可否を素早く判断する仕組みを導入するなど、市の改善策が奏功しているようだ。
市消防局によると、同市では命にかかわる緊急度の高い重篤患者について▽市立川崎病院▽日本医科大学武蔵小杉病院▽聖マリアンナ医科大学病院-の三つの救命救急センターを中心に受け入れている。それ以外の重症患者は、他の救急告示病院が受け入れている。
しかし、命に別条のない患者が長期入院することを懸念し、受け入れを敬遠する傾向もある。そのため、救命救急センターが緊急度の低い患者を受け入れるケースがあるという。
市はこうした状況を分析し、3年連続ワーストの汚名返上に向け、次々と改善策を打ち出した。
受け入れ拒否を減らそうと、救急車の受け入れ数に応じて補助金を支給する仕組みに変更。10年には、救急隊と医療機関とのやりとりを、年齢、性別、主な症状などに簡略化する「川崎スタンダード」を導入し、救急車の現場滞在時間の短縮化を図ってきた。
さらに、重症患者を断ることなく24時間体制で受け入れる拠点病院を選定。「重症患者救急対応病院」として指定を受け、昨夏から稼働している新・川崎幸病院の救命救急センターでは、入院は必要なものの比較的症状の軽い患者にも対応。搬送先が見つからない場合も受け入れており、“救急の最後の砦(とりで)”になっている。
こうした一連の改善策によって、昨年9月以降は「滞在30分以上」の割合が1桁台に収まっている。
市消防局救急課は「国が政令市ごとのデータを発表していないのでワースト脱出を宣言できないが、行政の各部署や医療機関の努力で数字は確実に下がっている。今年は通年の1桁台を目標にしたい」と話している。
【】