衆院選公示から1週間が過ぎた11日、県内の激戦区では党首級が立て続けに参戦し、政権を懸けた舌戦が佳境に突入した。安倍晋三総裁の投入で一気に勝負をかけたい自民・公明に対し、党幹部を連日送り込んで議席死守を狙う民主。政権の維持か刷新か-。二大政党の激突に第三極が絡む師走の決戦は、最終盤に向け天王山を迎えている。
「重量級」の弁士が応援に駆けつけているのは、民主前職に自民・公明が挑み、小選挙区での議席争いが肉薄している選挙区だ。両党とも中盤情勢を踏まえた「重点選挙区」に位置づけ、無党派層への浸透も視野に総力戦の様相を呈している。
「自民党は3年前とは変わった。誇りを持てる日本を取り戻すために負けるわけにはいかない」。寒風が吹き抜ける本厚木駅前。拍手で迎えられた安倍総裁が政権奪還を訴えると、詰めかけた有権者から拍手が湧き起こった。
安倍総裁は景気対策などを列挙するとともに、日教組批判を展開。「民主党は日本の教育をゆがめてきた日教組によって支えられている政党。子どもたちの未来を託すことはできない」と語気を強めた。この後、相模大野、新百合ケ丘、藤沢と各駅頭を転戦。夜には「統一候補」として議席奪還を目指す公明候補の応援で二俣川駅前に立った。
各駅を擁するエリアは、後半戦での巻き返しに躍起の民主側も「起死回生の必勝態勢を築く要所」に絞り込んだ選挙区だ。12日には岡田克也副総理が4選挙区を回るほか、野田佳彦首相(民主党代表)も13日に衆院解散後3度目となる県内遊説を計画している。
11日に横浜市内の街頭に立った輿石東幹事長は「野田総理を先頭に精いっぱい走り続けてきた。十分とは言えないが、ここで改革を止めたら子どもたちの明日が、日本が、憲法が危ない。子どもたちが悲惨な目に遭う世の中にしてはいけない」。
藤井裕久最高顧問も相模原市内でマイクを握り、「安倍さんは教科書検定(基準の抜本見直し)をやると言っており、これからの小中学生は戦争の悪いところを教わらなくなる可能性がある。国定教科書で、僕らは軍国少年たれと習った。これが怖い」と指摘。さらに「戦後、立派に平和と民主主義を守った泉下の先輩たちは、泣いていると思う。自民党にもいっぱいいい人がいるが、あの大将(安倍総裁)だけは駄目だ」と声を強めた。
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