風力発電など再生可能エネルギーへの転換を進め、環境分野の成長モデルとしても注目されている北欧のデンマーク。産業化の視点からもその取り組みを学ぼうというセミナーが23日、川崎市内で開かれ、企業、行政関係者ら約100人が参加した。同市内には太陽光やバイオマスなど多様な新エネルギー施設が立地。パネルディスカッションや交流会を通じて、エネルギーを賢く使う環境配慮型都市「スマートシティー」の構築へ両者の連携推進を確認した。
デンマークは2009年、川崎国際環境技術展に参加。以降、川崎市と環境、福祉、産業分野で交流が始まり、今年7月には、新エネルギーなど同国が先駆的に取り組んでいる分野で連携を図るため、経済産業交流に関する覚書を締結した。
デンマークは1970年代の石油危機をきっかけに再生可能エネルギーへの転換を図り、現状では電力供給の約20%を風力発電で賄っており、2020年までに割合を50%に高める目標を掲げている。一方、川崎市は、公害を克服した「環境先進都市」として、川崎駅周辺地区や川崎臨海部をモデル地区として、環境配慮型コミュニティーの形成を図る構想を進めている。
今回のセミナーは、同国が進めるスマートグリッド(効率的な次世代送電網)の産業化などをテーマに同市が主催。デンマークからは、マーティン・リデゴー気候・エネルギー・建設大臣、アンダース・トロワデンマーク工科大学教授、フランク・エレフセンデンマーク技術研究所最高技術責任者が登壇。川崎市からは、阿部孝夫市長をはじめ、市内でスマートシティーの実証実験などに取り組む企業関係者らが出席した。
冒頭、デンマーク側の講師陣が、クリーンエネルギーに起因する輸出の増加など経済成長につながる政策、プロジェクトを紹介。世界に誇れるスマートグリッドの構築を目指すとし、日本の取り組みとデンマークの知識と経験を組み合わせて進めていく必要があると指摘。川崎市内に拠点を置く日本企業との連携に期待感を示した。
一方、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の担当者が、実証実験段階に入った日本国内でのスマートシティーの取り組み状況を説明した。また、川崎市内にスマートシティー・コミュニティー事業の拠点を集約する東芝の担当者が、一定地域内の複数のビル間で電力を融通し合う構想などについて紹介。デンマーク、川崎市の参加者双方が、新エネルギーのビジネスモデル構築へパートナーシップの必要性を確認した。
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