
国内で法令が未整備のため流通していない「乳児用液体ミルク」を巡り、厚生労働省は31日、製品化する際の規格基準の検討を始めた。都内で開いた薬事・食品衛生審議会の部会で、8年ぶりに議論を再開。国内解禁に向け、常温で長期保存できる成分や製造基準などを具体化させていく。
部会では、昨年の熊本地震で液体ミルクの有用性に注目が集まり、普及を求める声が高まったとし、「災害時の備蓄につながるよう、常温保存できる商品を優先して製造販売を目指したい」との方向性を提示。食品衛生法に基づく省令で定めている粉ミルクや乳飲料の規格基準を参考に、殺菌方法や栄養成分、容器包装などについて検討する。
日本乳業協会は、常温での賞味期限6カ月~1年程度を想定して製造・保存試験を進めているとし、規格に必要なデータ提出を急ぐ考えを明らかにした。
同協会は2009年に規格設定を厚労省に要望したが、開発が進まず議論が中断。政府は育児の負担軽減にも役立つとみて、国内流通に向けて部会を再開した。今後、乳業メーカーが提出する安全性を示すデータを踏まえ、具体的な基準をまとめていく。
国内普及を目指して署名活動などを続けている横浜市鶴見区の主婦末永恵理さん(37)は傍聴席で、「検討の土台として一歩踏み出した。待ち望んでいる消費者のためにも、一日も早く普及してほしい」と期待を寄せた。