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市の損賠請求棄却 小田原競輪場撤退訴訟判決

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2017年4月1日(土) 10:28

 小田原競輪場の競輪事業から撤退したとして、施設所有者の小田原市が、「県競輪組合」を構成していた県と横浜、横須賀両市に対し計2757万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁小田原支部(栗原洋三裁判長)は31日、小田原市の組合に対する事業継続への期待は「法的保護に値するものではないと言わざるを得ない」として、請求をいずれも棄却した。

 同組合は、1998年度から小田原競輪場を借り上げて競輪を開催してきたが2014年11月、来場者の減少などを理由に翌年3月末までに解散し撤退することを小田原市に通知した。

 同市は弁論などで、相当な予告期間を14~16年度と主張。県と横浜、横須賀両市は契約関係、継続的な関係になく、予告期間を置く義務を負っていない、とそれぞれ反論していた。

 判決で栗原裁判長は、同組合が16年間にわたり毎年同競輪場で競輪を開催していたことを踏まえ、「将来的な賃貸借契約への期待は理解できなくはない」と説明。一方、単年度契約が「年度後も当然に締結されることは法的にはあり得ない」と指摘した。

 また、同組合が売上額に応じて競輪振興法人に交付する「JKA交付金」の猶予制度を利用していた点や、記念競輪を開催しても累積赤字が削減されなかったことを小田原市は認識していたとし、「競輪開催の停止や廃止があり得ることを前提に賃貸借契約を結んでいた」とした。

 その上で「事業撤退が信義則に反することはなく、損害賠償義務を負うこともない」と結論付け、「相当な予告期間に足りない2年分の賃借料相当金額の損害を被った」とする小田原市の主張を退けた。

 判決を受けて、同市の加藤憲一市長は「判決文の内容を精査し、今後の対応を検討していく」とコメント。県と横浜、横須賀両市はいずれも「主張が認められ、適切な判決」との認識を示した。

解説 廃止の予測可能と判断
 競輪事業からの撤退を巡る訴訟の判決は、県競輪組合の動向に対する小田原市の認識の甘さを指摘した格好だ。収益悪化による公営ギャンブルを取り巻く環境が厳しさを増す中、赤字に陥った事業主体が競輪開催の停止や廃止を決めることは予測できたとの判断だ。

 同組合が利用した交付金猶予特例制度は、収支状況の悪化を受けて財団法人への車券売り上げの一部の支払いが猶予される仕組みだ。ただし猶予期間は最長5年で、猶予後は交付金の支払いか開催の停止を選ばなければならなかった。

 猶予期間には多額の収益が見込めるG3レースの開催もあり、一時的に売り上げが伸びる年もあった。しかし、その開催も同じ5年間の限定。次年度の売り上げは急落すると見込まれており、組合が廃止を決めた2014年度の累積赤字は48億円に上っていた。

 自転車競技法が定める「地方財政の健全化」という本来の目的を達成することもできず、収支改善のめどが立たない競輪事業の廃止は、制度上からも当然の前提となっていた。

 競輪事業撤退を巡っては、平塚市が07年、平塚競輪から撤退した鎌倉市を相手に補償金(解決一時金)の支払いを求めて提訴。横浜地裁は10年5月、鎌倉市側に補償金約1億円の支払いを命じている。小田原市はこの判例などを参考に提訴に踏み切ったが、鎌倉の事業継続期間は約50年で、猶予制度利用の有無なども状況が異なっていた。

 苦境が続く公営ギャンブルに自治体財政への貢献を頼る構図は変化している。同組合の撤退に伴う賠償請求訴訟は、川崎市も横浜地裁に起こしている。

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