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傾斜地マンション、盛り土規制強化へ/川崎

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2012年9月8日(土) 17:05

傾斜地のマンション建設をめぐり、川崎市は盛り土に関する規制を強化する方針を固めた。意図的な盛り土で地盤面をかさ上げし、高さ規制をかいくぐる手法が散見されるためだ。来年3月にも、市斜面地建築物条例の改正案を市議会に提出する。見かけ上は巨大なマンションが「合法」とされてきた実態の改善へ、住民団体も「画期的な規制」と期待を寄せる。

8月下旬に開かれた「市斜面地建築物研究会」の第3回会合で、委員を務める学識経験者が感想を語った。「一般論でいえば、これでうまくいくのではないか」。提示された市側の素案に“お墨付き”を与えた。

同条例の改正を目指す市は2月、同研究会を設置。専門家の意見を基に、傾斜地における盛り土規制の在り方を探ってきた。

市によると、現在条例で盛り土を規制しているのは全国でも横浜市だけ。川崎市の担当者は「川崎が横浜と同等レベルの規制になる」と胸を張った。

川崎市内ではこれまで、傾斜地を利用したマンション開発をめぐり、開発業者と住民の紛争が相次いでいた。一見、高さ規制に抵触しそうな建物が合法とされる理由は盛り土にある。高さの算定基準となる地盤面をかさ上げすることで下層階を「地下扱い」とし、規制をクリアしてきた。

こうした手法に反発する住民団体は、規制強化を目指して市議会に陳情を提出。「横浜で可能なことがなぜ川崎でできないのか」と訴えた陳情は2011年7月、全会一致で趣旨採択された。

今回示された素案では、高さの算定基準を盛り土前の元地盤に変更する。盛り土で地盤面を操作するうま味をなくした。さらに、盛り土と隣地との間に4メートルの緩衝空地を設ける規定も加え、隣地に与える圧迫感を和らげることも狙った。緩衝空地内では、機械式立体駐車場などの建設も制限される。

「高さ、近さ両面から制限をかけた」と市まちづくり局。素案をベースに条例改正案を作成し、来年3月議会への上程を目指してパブリックコメントなどの諸手続きを進めるという。

「川崎が乱開発の吹きだまりにされてはたまらない」。そう語るのは、斜面地マンション建設に反対してきた、まちづくり・環境運動川崎市民連絡会の小磯盟四郎事務局長。

特に、横浜で盛り土規制が始まって以降、川崎が業者に狙い撃ちされる傾向にあるといい、今回の規制強化を「神奈川の二大都市が足並みをそろえる意義は大きい。一定の歯止めになるだろう」と評価する。

一方、課題については、「条例改正案の施行は早くても1年後ぐらい。駆け込みで着工する業者が出てくるとも限らない」と指摘。さらに、「盛るのではなく、斜面を切り土して建設する場合の規制がない。実際にそこを突く業者も出現している」と危惧している。

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