
自治体が目指す方向性を反映した今春の機構改革(組織改編)の概要が出そろった。一般的に広報と呼ぶマスメディア向け情報発信を行う部署の名称は、戦略の文字を入れたり外したり、多種多様。相模原・県央版エリアの市町村広報の名前の変遷をたどると、自治体の情報発信への考えが透けて見える。
◆市町村“広報”部署名たどる
4月にマスメディア対応部署の名称が変わるのは、厚木、綾瀬、伊勢原市と愛川町。
厚木市は2015年に広報戦略課と改めた広報課の名前を元に戻す。市の魅力を伝えるには漠然と広報するのでなく、戦略的な情報発信が不可欠-という考えから導入したが、「この2年で市役所全体に戦略的な思考が根付いたため、あえてうたう必要がなくなった」(行政経営課)と説明。新設の市長室に置くことで、首長の意向を反映した素早く的確な情報発信を目指す。戦略という言葉がものものしく、市民になじまないという声も根強かったという。
一方、新たに戦略の言葉を部署名にうたうのは伊勢原市。広報広聴課から市民の意見を聴く広聴業務を切り離し、自治体の好感度や愛着度のアップを図るシティプロモーションと広報の業務を推進するため、広報戦略課と改称する。担当名に戦略を加え広報戦略担当となる綾瀬市でも、従来業務の他、政策経営課からシティプロモーション業務を、文書情報課から市ホームページ管理業務がそれぞれ移管される。
愛川町は、総務課広報公聴班と企画政策課マーケティング推進班を統合し、総務課の広報・シティセールス班として再編。町の魅力の掘り起こしと情報発信の充実を図る。
報道機関への情報提供や取材対応という仕事を、市民向けの広報紙作成とセットで考えるか、自治体の魅力発信というシティプロモーション(シティセールス)の枠でとらえるか、各自治体で考えが異なる。
秦野市の場合、広報課の下に広報広聴担当とシティプロモーション担当があるが、マスメディア対応は後者が担う。相模原市では広聴広報課と同じ渉外部内にシティセールス・親善交流課があり、マスメディア対応とシティセールス担当を分けている。市長室広報担当を以前置いていた海老名市では、情報発信課情報発信係などを経て、昨年からシティプロモーション課広報係がマスメディア対応を担っている。
