横須賀、三浦の両市は2012年度から、胃がん発症の危険性を採血で調べる「ABC検診」を始めている。従来のバリウムによるエックス線検診よりも手軽に受診できるのが特徴で、県内自治体では初めての導入になる。
ABC検診は血液検査で胃がんの原因とされるピロリ菌(ヘリコバクターピロリ)の感染と胃粘膜の萎縮を調べ、発症の危険性を4段階に分類して判定する。最も危険性の低いAを除くB判定以上で内視鏡検査を実施。翌年以降はA~Dの判定別に数年ごとの検診を推奨する。危険性の低い人は毎年の検診の必要がなくなる。
胃がんは日本人のがん死亡原因の上位に位置するが、早期に発見されればほとんどが治るとされる。ただ、受診率は伸び悩み、三浦市の10年度の検診は受診率が5・3%だった。同市は、導入によって受診率の向上を期待する。
県内では相模原市医師会が実施しているが、市町村でABC検診を導入するのは両市が初めて。全国では栃木県大田原市などが取り入れており、初回受診者が増えるなどの効果が出ている。
両市は現在、市民への周知に力を入れており、三浦市は16日にセミナーを開催。NPO法人日本胃がん予知診断治療研究機構の三木一正理事長らが検診の有効性について説明した。市健康づくり課の担当者は「胃がん発症の危険性を知ってもらえるよう、今後も受診を呼び掛けたい」と話す。検診は40歳以上が対象。横須賀市が保健所健診センターなどで自己負担1300円、三浦市が市立病院などで同2千円で受けられる。
【】