
川崎南部地域の中核病院に位置付けられている川崎市立井田病院(中原区井田2丁目)の新棟(1期)が完成し、5月1日に開院する。「市民に信頼される自治体病院」として、がんなどの高度・特殊な医療を提供するとともに、新築を機に成人疾患医療や2次救急医療を一層強化。周辺に広がる「中原区市民健康の森」と一体化した医療環境も整備した。
市立井田病院は1949年、診療科目2科、病床数50床(結核40床、伝染10床)で発足し、現状の病院施設は4病棟で構成している。地域医療機能の強化とともに、老朽化への対応、耐震性の強化といった点から、再編整備が浮上し、川崎市が2007年に基本計画を策定。1~3期に分けて新築工事が進められており、全面開院は14年度を予定している。
新棟は鉄筋造り地上7階・地下1階建て、延べ床面積3万2707平方メートル(全面開院時)。1期開院期間中の稼働病床数は、一般245床、結核27床で、既存棟の緩和ケア病床20床を含め計292床(全面開院時計383床)。医療機能の基本方針として、(1)がんなどの高度・特殊な医療の提供(2)成人疾患医療の強化(3)2次救急医療の強化(4)結核医療の充実(5)地域医療連携の推進―の5点を掲げている。
新棟建設に当たっては、利用しやすい病院づくりを目指し、中央待合ホールは1、2階吹き抜けで自然光を利用。外観は、周辺にある中原区市民健康の森などと調和した配色とし、雨水利用施設や太陽光発電を導入。木のぬくもりを感じさせる外来待合やリハビリ庭園、野外緑化・アートも配置している。災害時に備え免震構造や自家発電を取り入れた。
市は第3次川崎市病院事業経営健全化計画(12年度から3カ年)で、川崎病院(川崎区)を市内の基幹病院に、井田(中原区)と多摩(多摩区)の両病院を南部、北部の中核病院と位置付け、高度、特殊、急性期医療や救急医療、結核・感染症などの政策医療を安定的に提供していく方針を示している。
【】