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市民勝手連「ミナカナ」(中) 有権者一人一人が源泉

選挙 | 神奈川新聞 | 2016年1月29日(金) 02:00

全国勝手連が集まったシンポジウムに参加した「ミナカナ」=1月22日、衆議院第二議員会館
全国勝手連が集まったシンポジウムに参加した「ミナカナ」=1月22日、衆議院第二議員会館

 市民勝手連「ミナカナ」が動き始めた2015年12月3日。結成集会とともに、選挙勉強会が行われた。講師を務めたのは、選挙ジョッキーとして活動する放送作家・座間宮ガレイだった。

激怒

 市民115人を前に、座間宮はマイクを持たず、語り始めた。

 「座間宮ガレイといいます。ペンネームです。石川県小松市出身です。放送作家という仕事を2000年からやりまして、大竹まことを師匠にして、ひたすらコントを書くという修行をしました」


選挙ジョッキーとして、全国各地で講演を行う座間宮ガレイ=2015年12月3日、横浜市中区
選挙ジョッキーとして、全国各地で講演を行う座間宮ガレイ=2015年12月3日、横浜市中区

 自己紹介とともに、口にしたのは15年9月17日の参院特別委員会だった。

 「9月17日の参院の〝カマクラ方式〟。私は衆院で3分の2以上、与党が議席を持っているので合法的にこの法律は通ると冷静に見ていました。ですが、あの〝カマクラ方式〟でマスコミが中継していたにもかかわらず、何が続いているかどうか分からない状態が続いた後に、NHKのアナウンサーが『どうやら、4つの法が成立したようです』と。『ようです』って何だよ、と。そこで、激怒(げきおこ)になったんですね」

 民主党が提出した鴻池祥肇委員長への不信任動議が与党などの反対多数で否決された直後、自民党の若手議員らが委員長席へ駆け寄り、鴻池委員長を取り囲む壁をつくった。質疑を打ち切って採決する意図を察した野党議員が飛び掛かり、もみ合いとなる中、与党は自民党理事の指示で起立採決を繰り返した。

 「選挙で負けたんだからという割り切りは私にはあります。ただ、国権の最高機関で誰が見ても分からないような、いいかげんなやり方で決められるということは今後もあるかもしれない。この国の仕組みは破られていくのではないかと、怒ったわけです」

 安保関連法が成立した翌10月以降、選挙をテーマにした勉強会を全国各地で行っている座間宮だが、選挙との出合いはそのときが始まりだったわけではない。14年8月、選挙情勢バラエティー番組「選挙ジョッキー」を立ち上げ、インターネット上で発信し続けてきた。

 「この番組は誰にお願いされたわけでもなく、ただ、選挙の情勢分析をやっていました。特定の政治家や政党を絶対に支持しないというスタンスでやりました。インターネットはコメントが来るので交流がありますね。次世代の党の支持者、公明党、維新の党の支持者、私の番組を見て下さっています」

反自民


 「交流していると、いろいろなことが分かってきた。次世代の党の支持者は、考えて選んだか? 考えないで選んだか?」

 考えないで選んだ、と答える参加者に座間宮は答える。

 「考えないで、次世代の党を選びますかね。考えて、憂いているから次世代なんですね。『憂い』という時点ではみなさんと同じですね。『自民党じゃだめだ』と。私の知り合いから、共産党支持者から次世代の支持者に移った方がいるんですよ。増税反対、TPP反対、反米。内政はけっこう似ていますよ」

 驚く参加者を前に、座間宮は続ける。

 「次世代の方は基本的に『反自民』ですよ。次世代の支持者の中に、いくらでも安保法に反対している、廃止したいという人いますよ。その人をどう取り込んでいくかが選挙ですよ」

 「選挙って一体、何だろうか。実際に行うこと、決まることは『国会の議席配分』ですね。つまり、衆院で3分の2以上、与党が取っていたために今のような状況になったわけです。1議席でも3分の2未満であれば、あんな状況にならなかったわけですね」

 座間宮は、直近である14年衆院選小選挙区の各選挙区で、候補者の得票数を試算。仮に野党共闘が行われた場合、与党候補とどのような戦いになるのかを分析し、すべてインターネット上で公開している。

 「神奈川の計18選挙区の内、自民優勢が10、接戦が6、野党が2、ということになります。この6のうち、野党候補が3分の2をとれば4ですね。野党の2に4を足して、6選挙区ですね。12対6までになる。かなり厳しい選挙。神奈川は厳しい。自民が強いですね。頭をもっと悩ませて、どうやって勝てばいいのか、考えて下さい」


選挙学習会では、過去の参院選の「おさらい」も行われた
選挙学習会では、過去の参院選の「おさらい」も行われた

調整


 有権者である私たち国民は何ができるのか。

 「『調整』ですよね、これからは。例えば、5万票持っている政治家がいる、15万票持っている政治家がいる。自民党は18万票を持っている。自民党に勝つためには、それぞれの政治家を支持する有権者の間で調整が必要ですね。勝つために調整をやらないといけない。今日から、ここにいらっしゃった人みんなが神奈川で調整をやりましょう」

 初めて聞く言葉といった様子の参加者を前に、問い掛けは続く。

 「調整って難しいんですよね。スタンスが分からないと何を言っているのか分からないということがある。ということで、ここで、皆さんの政治的立場について、簡単に聞こうと思います。『どこの政党を支持していますか?』という質問をします」

 「自民党支持の方?(該当者なし)残念。ここに自民党支持層の人がいたら、保守票、取りにいけるでしょ。残念」

 「公明党支持の方?」(該当者なし)

 「民主党支持?(該当者あり)いいですね、いいですね」

 「共産党支持の方?(該当者あり)はい、やはり動員力すごいですね。4割くらいですかね」

 「東京維新の方?(該当者なし) うわー。残念ですね。維新は早く味方につけましょう。維新はいま、一番共闘したい政党ですね」

 「生活の党、支持の方? (該当者あり)いいですね、いいですね」

 「社民党、支持の方? (該当者あり)6人?ここ少ないですね」

 「緑の党? (該当者あり)2人ですかね」

政治力

 政党支持なしの参加者を含め、全員の支持政党が明らかになると、座間宮の声はさらに大きくなった。

 「政治力とは何か。皆さん一人一人が政治力の源泉です。こんなにたくさんの人が集まって選挙について考えていることを政党が知ったら『なんてことが起きているんだ!』と思いますよ。われわれは政治力の源泉です。支持者が政治力の源泉なんですよ」

 異なる政党や政党支持者をくっつける役割は、特定の政党ではできない。

 「つまり、政党ではなく、市民がつくればできてしまう。すでに、さまざまな政党支持者がくっついてミナカナができているわけでしょ。そこにいろいろな政党の候補者を呼んで勉強会すれば、各政党の候補者も来られるでしょ。市民が行える可能性があるし、すでに全国各地でやっていますからね」

 この時点で、ミナカナが把握するだけでも全国各地の「市民勝手連」はすでに30近くに上っていた。

 「どんどん、国会議員のOBとか呼んで、神奈川の選挙どうなっているのか、勉強しましょうね。弁護士をどんどん使いましょう。弁護士はキーマンなんですね。普段から争点をつくって、ケンカするのが仕事でしょ。事務処理能力もあるでしょ。すぐに文書でまとめるでしょ。間に入る人が弁護士でもいいです。そういう人を使いましょう」

 座間宮の隣には、安保関連法反対の国会前デモで市民活動を見守る役割を担った、弁護士の武井由起子が立っていた。
=敬称略



 今夏の参院選で、安倍晋三首相は「憲法改正」を争点にすると明言した。改憲は、自民党の党是であり、首相自身の悲願と目される。昨年は憲法違反と指摘された「安全保障関連法」が強行採決の末に成立した。参院選で改憲の国会発議に必要な定数3分の2以上の議席を与党が確保した場合、戦後初の憲法改正が一気に現実味を帯びる。

 政権の動きに対し、いま街場では二つの動きが加速している。アベ政治の暴走に危機感を募らせ、打倒に向けて動き出す人々。一方、政権を支持し、憲法改正へと機運を高める人々。安全保障関連法、改憲、そして安倍政権の是非が問われる国政選挙。

 あなたは安倍政権を支持しますか。それとも支持しませんか―。半年間、両者の立場から、主に市井で活動する人々を追うとともに、決戦に向けた候補予定者らのうごめきも伝えていく。

 
 

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