前回と同じ顔触れによる一騎打ちとなった開成町長選は、自民推薦で新人の元会社理事山本研一氏(61)と再選を目指す現職の府川裕一氏(59)=届け出順=が26日の投開票に向け、激しい選挙戦を展開している。神奈川新聞社が実施した政策アンケートを踏まえ、現町政の評価、子育て支援、庁舎整備問題など両候補者の考えをまとめた。
現町政について、元町長・久雄氏の長男の山本氏は「人口増は過去の政策の成果」とずばり。「次の一手を打つためにも、行財政改革と独自財源の確保が不可欠。民間の経営感覚を生かし企業誘致や商店街、農業の活性化を進め、分かりやすい町政を行い説明責任を果たす」と訴える。
一方、露木順一前町政を継承する府川氏は、東日本大震災やゲリラ豪雨の教訓から町内34カ所の河川改修、開成小学校の大規模改修、常設型子育て支援センター開設準備など、1期目の成果を列挙。「先人の英知と努力を継承し、元気で誇れる町づくりを進めたい」と強調する。
小児医療費助成では、山本氏が「周辺市町に見劣りしてきた。所得制限なしで中学校卒業まで拡大したい」と訴える。府川氏は「財源のめどが付いた」として、小学校就学前だった対象上限を本年度から小学校6年生までに拡大したと強調した。
庁舎整備問題では、山本氏は建設規模と財源不足を問題視し、「事業費の7割の財源確保と、建設費の大幅削減が条件」と訴えるが、府川氏は現庁舎の老朽化への対応と防災機能強化が必要とし「決断するのが町長。財源は後から付いてくる」と主張する。
このほか地域活性化策やインフラ整備では、両氏とも北部の道路整備や農業振興、南部での商店街形成など、南北バランスの取れた町づくりの推進を公約としている。
■町政の評価
山本氏
町づくりに対するビジョンがなくイベントばかりが目立つ。行政主導で運営が縦割り。行財政改革にも取り組むべき。
府川氏
東日本大震災の教訓から、浸水時の災害対策の強化を図った。開成小学校の大規模改修を3年間継続し、教育施設の充実を実現。
■子育て支援
山本氏
小児医療費助成制度を中学校卒業まで所得制限なしで拡大。待機児童ゼロに向けた具体策を早期に実現する。
府川氏
財源のめどが付き、2015年度から小児医療費助成対象を小学校6年生まで拡大し、放課後児童クラブも小4まで拡大した。
■地域活性化策
山本氏
農業6次産業化や企業化を国・県と連携し、町産町消のブランド開発を図る。開成駅周辺の個性を生かした開発も促進する。
府川氏
南足柄箱根道路の整備を踏まえ、北部地域に農産物加工所や直売所を整備し、農業再生と6次産業化により交流人口増を目指す。
■インフラ整備
山本氏
中央通りを起点に北部へ道路を延伸し活性化を図る。南部は開成駅につながる駅前通り線の整備で魅力ある商店街を形成促進する。
府川氏
開成駅前通り線周辺地区の町づくりを進めることで、開成みなみ地区と開成駅を結び、県西地域の新たな経済拠点として整備する。
■庁舎整備問題
山本氏
耐震や利便性を重視、将来を見据えた機能的な建物とする。建設時期は事業費7割の積立金の確保と建設費の大幅削減が条件。
府川氏
第5次総合計画にのっとり、劣化の激しい現在の庁舎を、信頼できる防災の拠点として、環境にやさしい庁舎整備を進めていく。
■行財政改革
山本氏
トップセールスによる税収拡大と民間の経営感覚を生かした経費節減で財源を確保。国・県とのパイプを生かし事業を推進する。
府川氏
南部地区土地区画整理事業が終了し、固定資産税の増額が図られた。新たな住民の定住策を進めることで、税収を確保する。