茅ケ崎市長選は、三つどもえの戦いが展開されている。いずれも無所属で、新人の大学講師(58)と、現職の服部信明氏(53)=自民、民主、公明党推薦、新人の会社役員鈴木毅氏(59)=右から届け出順=に、これまでの歩みや政策などを聞いた。
◆3度目挑戦に決意 桂秀光氏(58)
茅ケ崎には小学生のころに越してきた。相鉄いずみ野線延伸などで鉄道駅が増えると言われてきたが、「今日まで鉄道などのインフラをはじめ、ほかの設備も良くなっていない。これは政治が悪い」。茅ケ崎を住みやすい町にしようと、2003年から市長選に挑戦。今回が3回目の出馬で、交通網の拡充や医療体制の改善などを訴える。「全国的に知名度のある茅ケ崎を、名実ともにしっかりしたまちにしたい」
曽祖父が戦前戦後に活躍した政治家を支援するなど、政治は身近だった。自然と政治に関心が向き、「報道や歴史の教科書などに書かれている内容が、実際に起こったこととかけ離れていることを聞きながら育った」。そうした話を聞く中で、「自分なら、違った視点で、真実に近い政治に取り組めると思った」と振り返る。
妻(58)と2人暮らし。昨年3月からマレーシアの大学で学生の論文指導に当たる。趣味はアマチュア無線や外国語を学ぶことで、座右の銘は「真理がわれらを自由にする」。
◆談論風発を心掛け 服部信明氏(53)
座右の銘は「初心を忘るべからず」。41歳で市長に初当選したこともあり、トップダウンではなく、50代の部課長をはじめ現場の職員と積極的に議論することを心掛けてきた。“役所の論理”で物事が進んでいる時は、違った視点や他の自治体などの取り組み例を出し、現場の議論を再度促す。「そうしたプロセスを一貫して大切にしてきた」と自負する。
大学中退後に開いた補習塾が、その後の人生を決めた。塾通いを前提に進む学校の授業でつまずいた子どもが対象だったが、「塾に来る子どもは変われるが、学校全体は変わらない」。改善する手段として、政治家を選んだ。
茅ケ崎は市民力が高いと評価し、市民活動の支援制度も整えてきた。勉強の分からない子どものためにサマースクールを開く地域もあり、「市民力が生かされている」と実感する。
妻(50)と子ども3人の5人暮らし。子どもたちの部活動観戦や、中学高校時代の友人、恩師らとの語らいが息抜きになっている。
◆政界で“裏方”経験 鈴木毅氏(59)
転機は大学4年の時、電車で2回席を譲ったことだった。相手は偶然にも同じ元衆院議員で、その縁で卒業後、自民党本部の職員に。議員秘書も計5年ほど務めた。国の借金が問題となっていた1996年、「国民の意識を物質偏重主義から家族など内面の充実に変えていこう」と、政治家を志した。
藤沢市出身だが、「地元の人は茅ケ崎市民以上に茅ケ崎っ子だと見てくれている」。父が茅ケ崎市の下水道部長まで務め、当時の市議らから中央政界とつながりを持つ自分も頼りにされた。今回、出馬を促したのは、その時につながりのできた人たちだった。「キャリアも人脈もあり、しがらみに屈せずに改革できる」と推され、気持ちに応えた。公共事業発注の過程をチェックするなど、「税金の使い道を透明化する」と訴える。
一人娘は独立し、妻(57)と2人暮らし。リクガメの飼育とプロ野球観戦が趣味で、座右の銘は「和して流れず」。