県議選で当選1人
統一地方選前半戦の県議選で、旧みんなの党に所属していた現職の多くが議席を失った。解党後も流れをくむ地域政党「みんなの改革」の公認候補5人のうち再選したのは、浅尾慶一郎代表(衆院4区)のお膝元で出馬した1人だけ。4年前、「非自民、非民主」の受け皿として旋風を巻き起こした勢いはどこへ-。強固な地盤を持たず、浮動票を狙った風頼みの「第三極」は今、地方議会でも窮地に立たされている。
「すべては私の不徳のいたすところにあるが、個の力では難しかった」
5議席をめぐり10人が出馬した藤沢市選挙区。3選を目指して落選した塩坂源一郎氏が、厳しかった選挙戦を振り返った。
旧みんなの党で県総支部の幹事長を務め、今回はみんなの改革の推薦を受け無所属で挑んだ。県内随一の激戦区で浅尾氏らの応援を受けたが、及ばなかった。
みんなの改革で当選したのは、浅尾氏の地元・横浜市栄区選挙区で立候補した楠梨恵子氏ただ一人。たもとを分かった維新の党から出馬した現職も、同様に厳しい戦いを強いられた。再び議員バッジを手にしたのは、無投票当選した斉藤尊巳氏(川崎市高津区)と江田憲司代表(8区)の地元・横浜市青葉区で出馬した赤野孝之氏だけだった。
「みんなの改革の名前を知っている人はほとんどいなかった」と振り返る塩坂氏は、こう続けた。「当選したのは、みんなの党が強かったところばかり」
4年前の前回県議選で、旧みんなの党は22人を擁立。新人13人を含む15人が当選し、県議会の第3会派へと躍進した。前知事の松沢成文氏を立てた2013年の参院選では、自民に次ぐ約74万票を獲得する勢いがあった。
しかし同年12月、江田氏らが渡辺喜美代表(当時)の党運営に反発し党を離れた。その後、代表に就いた浅尾氏と渡辺氏の路線対立が激化し、14年11月に解党した。
統一地方選まで半年を切っての党消滅。組織的な支援を受けず、強固な地盤を持たない現職の多くは、党の「看板」を失って浮足だった。昨年の衆院選での維新のビラ配り、競争率の低い選挙区への国替え、民主党を含む他党からの出馬-。県議選の告示直前まで、模索を続けた者もいた。
「短期間で浸透できず、厳しい結果だった。得票を見れば、日常活動の差が出ている。敗因分析が必要」。県議、横浜市議選で8人が出馬し、各1人の当選に沈んだみんなの改革の浅尾代表はこう総括し、統一選後半戦の葉山町議選に出馬する現職の土佐洋子氏は「4年前とはまったく違う。今回は、第三極はどこも厳しい」と不安を隠さない。
来夏に改選を控える参院議員の中西健治代表代行も厳しい現状を受け止め、こう話した。「(この4年間で)第三極の期待感はしぼんでしまった。政権運営の失敗で民主党にすら期待感がない。第二極にないのに、ましてや第三極は…」