県議会の過半数獲得を目指し積極擁立を進めている自民党が、横浜市港北区選挙区(定数4)で初めて2人の公認候補を擁立した。国政で「自民1強」とされる党への追い風に加え、前回4万票近くを獲得した現職への支持の一部を取り込めば、当選圏が狙えるとの計算だ。前回の2人から1人に絞った民主票の行方も鍵を握っており、現新6人が絡む激しい選挙戦が繰り広げられている。
◆最多得票
「嶋村家は、県政と横浜市政に100年以上関わってきた。お集まりいただいた皆さまのお力添えを頂戴し、悔いのない戦いにしたい」。3月29日に行われた嶋村公氏(58)の事務所開き。マイクを握った後援会長の吉原昭彦氏(87)が力強く訴えた。
嶋村氏の父尚美氏は県議を10期務め、議長も経験。叔父の勝夫氏も横浜市議選で9回当選を重ね、議長にも選ばれた。「嶋村王国」の強固な地盤を持ち、過去3回の県議選はすべてトップ当選。前回は県内最多の約3万9千票を獲得した。
だが今回、嶋村氏は12年の実績を訴えるとともに、「自民党候補全員が当選できるよう全力を尽くす」と引き締める。新人の武田翔氏(33)が、同じ選挙区に立候補したからだ。
自民県連は「4人区で前回の嶋村の得票数を考えれば複数擁立は可能」と判断。“ヒゲの隊長”こと佐藤正久参院議員の秘書だった武田氏を昨年10月に公認した。公明党の推薦も受け、「なんとしても結果を出したい」と力を込める。
◆重点地域
「前回は4千票差で次点だった。今回は必ず押し上げていただきたい」。告示日の3日、新横浜駅前で、共産党の新人・大山奈々子氏(52)の応援に駆け付けた志位和夫委員長が第一声を上げた。
昨年12月の衆院選で躍進した共産は、神奈川を含む県議がいない全国7県の空白解消を目標に掲げた。前回約50年ぶりに議席を失った神奈川は重点地域に位置付けられ、中でも港北区は最も力を入れる選挙区の一つ。議席奪還という使命を帯び、4年前の雪辱を期す大山氏は「党の期待に応え、勝ち抜きたい」と意気込む。
◆絞る民主
前回、計屋珠江氏(61)と中谷一馬氏(31)の2議席を獲得した民主党。昨年の衆院選に出馬した中谷氏の後継は擁立せず、1人に絞った計屋氏に約1万7千票あった「中谷票」の集約を目指す。
中谷氏は3日、街頭で計屋氏と肩を並べて支持を呼び掛けた。計屋氏は「票の上積みを図りたい」と着実に議席確保したい考えだ。
統一地方選に初参戦する維新の党から出馬しているのは、宗像富次郎氏(53)。前回は旋風を巻き起こしたみんなの党で初当選したが、今回、その風は読み切れない。
神奈川を「大阪に次ぐ東の拠点」(江田憲司代表)と位置付けて議席増を狙う党の意思をくみ、非自民、非民主の受け皿となるよう「身を切る改革」を訴える。
無所属候補の新人・水口大助氏(63)は、しがらみのない立場での改革を訴え、初当選を目指す。